「最初と最後ぐらいは、いい練習しようぜ」 東京六大学で春秋連覇の早稲田大、連敗の早慶戦から立て直した"初心"の1日
「優勝する資格があるチーム」を目指して
連敗を喫して勝ち点を落とした早慶戦では、伊藤樹が本来の持ち味を発揮できなかっただけでなく、野手陣にもミスが出たり、不運な内野安打があったりと、チームとして流れを引き寄せられなかった。中1日で優勝決定戦を迎えるにあたって、印出主将は「月曜日(11日)に4年生を中心にすごくいい練習ができた。体を動かしながら、気持ちをリセットして向かっていった結果が、こういった試合につながったと思う」と語った。 この1年間、早稲田大は選手だけでなく、スタッフを含めた全員が「優勝する資格があるチーム」を目指して「グラウンド内での全力疾走や掛け声に対するアンサーといった、誰でもできること」(印出)を大事にしてきた。くしくも、ちょうど1年前の2023年11月11日は、現チームが発足した日。「新チームでそういうスタートを切って、土台を築いて、実戦に入ったことで春は優勝できた。秋はだんだん目の前に優勝がちらついてきた中で、どこか浮足立っているというか、一番大事にしてきたことが、あやふやになっていた部分もあったと思います。自分も指摘しきれていないというか、流してしまった部分もあったと思う」と印出。副将を務める吉納翼(4年、東邦)は「新チームスタートのときは、日本一になれるチームの練習をしてた。最初と最後ぐらいは、いい練習しようぜ」という声かけがあったと明かす。 優勝決定戦で攻撃の口火を切ったのは、この二人だった。二回無死、印出がチーム初安打となる右前打で出塁すると、1死二、三塁から中村敢晴(4年、筑陽学園)の左前適時打で先制のホームを踏んだ。吉納は五回1死、右越え二塁打を放ってチャンスを作り、連続四球で満塁となった後、小澤周平(3年、健大高崎)の左中間を破る2点二塁打を呼び込んだ。
小宮山悟監督「彼らのことを誇りに思います」
投打がかみ合っての快勝に小宮山悟監督は「印出の言葉を借りれば、土日のみっともない試合から反省して、『どうすれば勝てるだろう』と選手がいろいろと知恵を絞ってくれた。満点をあげていいぐらいの試合ができましたので、彼らのことを誇りに思います」と最大の賛辞を贈った。優勝する資格があるチームという目標については、「本当に資格があるかどうかは、神宮大会で優勝できるかどうか。『最後の試合が完成形』と言い続けてますので、神宮大会での最後の試合が完成形になります」。 6月の全日本大学野球選手権では青山学院大学に決勝で敗れただけに、20日に開幕する明治神宮大会は、リベンジの舞台でもある。早稲田大の登場は23日で、優勝までの道のりは3連戦。青山学院大とともに勝ち進めば、決勝で再び相まみえることとなる。
東京六大学野球2024秋季リーグ戦 優勝決定戦
11月13日@明治神宮野球場(東京) 早稲田大学 4-0 明治大学 (早稲田大は2季連続48回目の優勝)
井上翔太