【解説】南海トラフ巨大地震想定震源域で17日にM6.6の地震発生――臨時情報は?基準となるM6.8とは?異なる2つのマグニチュード
■豊後水道の地震は回数減少も、余震活動とみられる震度3の地震
17日に震度6弱の地震があった豊後水道では先週も余震活動とみられる震度3の地震がありました。この地震は南海トラフ巨大地震の想定震源域の中でおきたものでしたが気象庁は「南海トラフ巨大地震の発生の可能性が高まったとは考えていない」と会見で説明しています。また地震回数は、次第に減っていて、今月25日から28日までは震度1以上の地震の発生はなかったということです。 今回、南海トラフ巨大地震の発生の可能性が高まったと考えていないとした背景には、想定される巨大地震とメカニズムが異なること、さらに地震の規模が小さかったことがあげられています。もしマグニチュード6.8以上の地震だった場合、「南海トラフ地震臨時情報」(調査中)が出され、専門家らによる「評価検討会」がおこなわれていた可能性があります。
■検討会開催の有無にも影響?マグニチュードは――
地震の規模を示すマグニチュードですが日本では2種類のものが使われています。一般的に、地震速報などで使われるマグニチュード、これは気象庁マグニチュードとしてMjとも呼ばれています。一方、Mw=モーメントマグニチュードがあります。Mj(気象庁マグニチュード)は地震計で観測した地震の振幅から地震の規模を求めるもので、地震発生後すみやかに計算して数字を求めることが出来ます。海で囲まれた日本では3分以内に津波の有無を判断して津波警報を出す必要があるため、地震の規模をすぐに把握するには大切です。一方、Mw(モーメントマグニチュード)は地震を引き起こした断層のずれの規模を示す指標で、ずれた面積や量などを、高性能な地震計データを集めて計算して求めます。このため、計算に少し時間がかかるそうです。また小さな規模の地震ではMwは求めることができませんが、規模の大きな地震になるほど正確なマグニチュードを求めることが出来るということです。
地震の専門家で、環境防災総合政策研究機構の草野富二雄さんによりますと「速報性に優れている気象庁マグニチュード、地震の大きさを物理的に正確に表現できるのがモーメントマグニチュード。互いに短所、長所あるので、そこをカバーしながらやっている」ということです。