2025年の米国株式市場に潜む3つのリスク…ドイツ銀行のストラテジストが指摘(海外)
2. 地政学的混乱
2024年初、アメリカと中東の間で地政学的緊張が高まり、原油価格が急騰し、株価は急落した。また2024年11月20日には、ウクライナがアメリカ製およびイギリス製のミサイルでロシアを攻撃し、ロシアがウクライナに対して新たな極超音速ミサイルで報復したため、株式市場が下落した。 「市場は地政学的な緊張に非常に敏感だが、いずれのケースでも、最悪のシナリオである広範な衝突には至らなかった。しかし、もし新たな紛争や対立の激化が起これば、2022年のロシアのウクライナ侵攻後に見られたように、市場は非常にネガティブに反応することが分かっている」とアレンは話している。
3. インフレ率の上昇
インフレは2022年の9%近くから落ち着き、2024年10月の消費者物価は前年比で2.6%の上昇だった。この数字は経済学者の予測通りであり、2024年9月よりも若干の加速が見られたものの、予想の範囲内だ。 一方、2024年の初め、市場はいくつかのインフレの懸念に反応し、株価は下落し、債券が売られ、金利引き下げの期待が後退した。 インフレが高水準で続く場合、市場はFRBが厳しい金融政策を取ると予想し、その影響は今後も続くとだろうとアレンは話している。 「これは2025年に向け、ますますリスクとなる」とアレンは言い、次のように続けた。 「幸い、1970年代のようにインフレが長期にわたって高止まりする事態は避けられた。だが、アメリカではインフレは依然としてFRBの目標値を超えており、当行のエコノミストは、総合PCEとコアPCE(食品やエネルギーを除外したもの)は、2025年および2026年を通じて2%を上回ると予測している」 ちなみに、PCE(Personal Consumption Expenditures)とは個人消費支出で、FRBが重視するインフレ指標だ。 一部のウォール街のアナリストたちは、株価指数が史上最高値近辺で推移する現在の市場の上昇は、行き過ぎたものだと警告している。しかし、米個人投資家協会(AAII)の最新の投資家センチメント調査によると、今後6カ月間に株式市場に対して悲観的な見通しを持つ投資家は33%だけで、主要銀行のアナリストたちも、2025年に向けて概ね前向きな予測を出しているという。
Jennifer Sor