【小倉2歳S】データではエイシンワンド、ポートデラメールらが有力 複勝率53.8%「1200mの新馬戦で先行V」に該当
猛暑の消耗は最低限に
今年は小倉とつく夏の重賞は中京で行われる。小倉2歳Sも中京芝1200mが舞台。いつもなら過去10年の重賞データではなく、コースデータを使用するところだが、コース改修後の2012年以降でも、2歳の該当レースは44。新馬、未勝利を除くと、中京2歳Sのわずか4レースしかない。 【キーンランドカップ2024 推奨馬】スプリントは勝率50%で実力メンバーNo.1! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) とはいえ、さすがに高松宮記念など古馬のコースデータは使えない。そこで、今回はあえて小倉2歳S過去10年分のデータを使用し、臨戦過程などから好走馬の輪郭をつかんでみたい。 そもそも小倉2歳Sはいかにも荒れそうな小倉の短距離戦のわりに波乱度合いが低い。1番人気は【2-2-0-6】勝率20.0%、複勝率40.0%にとどまるものの、5番人気以内が9勝。さすがに上位人気は戦力比較がつかず割れがちになるが、その上位人気と下位との間にはやや差があるようだ。 下位人気の馬券圏内突入はあるにはあるが、確率的には割れた上位人気を的確にジャッジし、的中にありつきたいレースだ。 前走小倉から小倉2歳重賞へ。そんなローテも中1週【1-1-1-7】勝率10.0%、複勝率30.0%と悪くない。 だが、猛暑に輸送競馬を続けるのは2歳にとって酷というもの。中京は小倉と比べ距離こそ短いが、とにかく暑い。今年の東海地方は猛暑日続き。できれば間隔をとり、ゆったりと重賞へ挑みたい。 中4~8週【5-4-4-30】勝率11.6%、複勝率30.2%、中9週以上【0-2-1-4】複勝率42.9%と中間にリフレッシュ放牧を挟み、あまり追い詰めずに重賞へ向かう馬を買いたいレースだ。
新馬戦でみせたセンスがポイント
函館2歳S3着エンドレスサマーは1200mにこだわり転戦してくる。そこに各地の1200m新馬を勝ったエイシンワンド、アブキールベイらが参戦。インパクトある競馬で未勝利戦を勝ったレイピアもいて、今年も上位拮抗の激戦が予想される。 前走クラス別ではやはり前走新馬戦が【5-5-7-40】勝率8.8%、複勝率29.8%と一歩リード。特に1200mの新馬Vは【5-5-7-33】勝率10.0%、複勝率34.0%と好走すべてに該当する。 その決まり手は先行【5-3-6-12】勝率19.2%、複勝率53.8%が有力。逃げは【0-1-1-17】複勝率10.5%で、スピード任せだと厳しい。重賞ではデビュー戦から大人びた競馬ができるスピード型が狙い目だ。エイシンワンド、ポートデラメールなど該当馬は多い。 新馬からポートデラメールに注目。勝ち時計は京都芝1200m1:11.3と目立ちはしないが、前後半600m37.0-34.3と京都らしいスローペースだった影響が大きい。評価できるのはラスト600m11.7-11.3-11.3。この速い上がりを4番手から抜け出したポートデラメールの脚力は魅力だ。問題は平坦から急坂へのコース替わり。前走408kgの小さな馬体でクリアできるか。 未勝利戦組は、新馬戦と同じく前走1200m1着【2-3-1-23】勝率6.9%、複勝率20.7%。ただし、こちらは逃げ【1-2-1-9】勝率7.7%、複勝率30.8%も先行【1-1-0-7】勝率11.1%、複勝率22.2%と同じく評価しないといけない。キャリアを積んでも逃げられる出足はかえって武器になるということか。 レイピアは小倉芝1200mで逃げて前後半600m33.4-34.8、1:08.2。後半600mすべて11秒台でまとめられる粘りは評価ポイントだろう。 最後に前走函館2歳S【0-0-1-2】複勝率33.3%。2020年フォドラがこのローテで3着に入った。エンドレスサマーは2番手から前後半600m34.0-35.2を粘って3着。走破時計は新馬と同じ1:09.4。重賞で2番手からの競馬を経験したことが小倉2歳Sでの強みとなるだろう。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
勝木淳