大統領選圧勝のトランプ、中国が「2027年までに侵攻の準備整える」とする台湾問題にどう向き合う
■ 米国だけでなく日本の艦艇も台湾海峡を航行 コルビー氏は米国がアジア重視の姿勢を強めることを求めている。「中国を締め付けようとはしていないこと、台湾が独立すべきとは考えていないこと、習氏をヒトラーとみなしていないというメッセージをすぐにでも中国に送るべきだが、不幸にも手つかずのままだ」という。 本当に重要な競争相手は中国だけだと考える太平洋第一主義者のコルビー氏は1月、英シンクタンク、王立国際問題研究所(チャタムハウス)で「日本は27年度に防衛費を国内総生産(GDP)の2%にすると言っているが、今すぐ3%にすべきだ」と注文をつけた。 中国人民解放軍は10月、台湾に最も近い島で実弾射撃を含む演習を行った。ナンシー・ペロシ米下院議長(当時)が訪台した22年以降、中国は台湾沖で大規模な軍事演習を繰り返す。これに対抗して米国だけでなくカナダ、ドイツ、オーストラリア、日本の艦艇も台湾海峡を航行している。 20年以降、人民解放軍空軍は台湾の防空識別圏(ADIZ)への出撃を増やしている。戦闘機、爆撃機、偵察機など複数機が関与することが多く、連日のように出撃が行われている。ペロシ氏が訪台した22年8月だけでも人民解放軍空軍の446機が大規模演習で台湾のADIZに侵入した。
■ トランプ氏自身は台湾支援に懐疑的 第2次トランプ政権は台湾問題にどうアプローチするのか、まだ全く見えない。米シンクタンク、ブルッキングス研究所のリチャード・ブッシュ上級研究員らは「トランプ氏の台湾に対するアプローチはほとんどの外交問題のアプローチと同様、予測が難しい」と指摘する。 トランプ氏自身は台湾など米国の同盟国のために米軍を前方展開して危険にさらすのに懐疑的だが、第1次政権は台湾支援に前のめりだった。当時の政府高官は「これまでで最もタカ派の台湾チームだが、習氏が電話で文句を言えば大統領の直感はそれに流される」と米紙にこぼしている。 ビジネスマン出身のトランプ氏は、台湾は中国に比べてあまりに小さく、米国からも遠く離れていると感じている。一方、第1次政権は戦略文書で「台湾が効果的な非対称防衛戦略と能力を発展させ、中国と関与する能力を確保できるようにする」とタカ派ぶりを見せた。 この戦略の一環として第1次政権は台湾への武器売却を増加させた。F-16編隊のアップグレード、沿岸防衛システム、ロケットランチャー、魚雷など約180億ドルの武器売却が決定された。アレックス・アザール保健福祉長官(当時)ら政府要人の訪台が続いた。