鉄道も大雪シーズン突入 長野と新潟を結ぶJR飯山線
日本海側を中心に大雪となった14日、地方の鉄道の雪との闘いが今年も本格スタートしました。長野県北部と新潟県を結ぶ豪雪地帯を走るJR飯山線にこの日午前、乗ってみました。 乗車予定の午前10時すぎ長野駅発十日町(新潟県)行きの普通列車。駅に出向くと、いきなりの行き先変更で、新潟県の手前、長野県北部の飯山駅(飯山市)止まりになっています。長野・新潟県境の大雪で、飯山駅から先へは列車を動かせないのです。乗車して雪の様子を見ることにしました。
●大雪で「飯山止まり」
列車は気動車の2両編成。休日のためか乗客は学生など若者が目立ち、車内はすいています。長野市近郊の豊野駅を過ぎると、千曲川沿いにいよいよ豪雪地帯へ。列車は白銀の世界にただそれだけが見える2本のレールを頼りにうねうねと千曲川の流れに沿って走ります。雪に覆われた村落と千曲川のたたずまいは水墨画の世界です。 観光客には魅力のそんな銀世界も、沿線に住む人々や鉄道関係者にとっては生活や仕事を左右する切実な問題になります。車内放送は、飯山駅から先に行く予定だった乗客向けに、飯山駅職員の案内を受けるようアナウンスを繰り返しています。
飯山駅は深い雪の中にありました。到着したホームの先にはすでに1メートル以上の雪の壁ができており、列車はここから先には行けないとはっきり分かります。冬将軍がいかにもいじわるな「とおせんぼ」をしているかのようです。ホームの反対側にはフル稼働に向けて除雪車が待機していました。 飯山駅からさらに先の新潟県境にある森宮野原駅(長野県下水内郡栄村)は昭和20(1945)年に7メートル85センチの積雪を記録した“想定外”の豪雪地。鉄道を守る沿線の苦難は想像を絶します。
来年3月14日長野から金沢まで延伸開業する北陸新幹線は、JR飯山駅と同じ場所に駅を設け、開業準備に入っています。雪との闘いの一方で、地元には明るい期待が広がっていますが、東北など豪雪地の在来線沿線は例年と変わらぬ辛抱の冬を過ごすことになります。 飯山線は長野-豊野間が信越本線と重なり、新潟県の越後川口まで96・7キロメートルを運行しています。 (高越良一/ライター)