『ブギウギ』菊地凛子の歌唱シーンを趣里も絶賛 “赤い炎”のスズ子と“青い炎”のりつ子
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』が現在放送中。“ブギの女王”と呼ばれる笠置シヅ子をモデルに、大阪の銭湯の看板娘・花田鈴子=福来スズ子(趣里)が戦後のスターへと上り詰めていく姿を描く。 【写真】りつ子(菊地凛子)の歌声に感情が溢れ出るスズ子(趣里) 日中戦争が始まって3年。「贅沢は敵」とされる中、変わらず公演を続けてきた梅丸楽劇団だったが、とうとう派手な演目・演出・演奏がすべて取りやめに。さらには英語の使用が禁止され、楽器を和名で呼ぶよう指導されてしまう。 劇中ではサックスを「金属製ひん曲がり尺八」と称するなど、「本当なのか!?」と疑うような呼び名も登場するが、制作統括の福岡利武はすべて史実に沿ったものであるとし、「当時は大真面目だったと思いますが、いま見るとユーモラスに見える。そのあたりを描ければと思いました」と狙いを語る。 一方、スズ子にとって大きな試練となったのは、三尺(約90cm)四方からはみ出さずに歌うこと。これもすべて史実に基づいたエピソードで、福岡は「ドラマではわかりやすく枠を作りましたが、それまでは動き回るパフォーマンスでステージを作ってきたので、趣里さん自身もすごく窮屈だったと思います」と撮影を振り返る。 「趣里さんは『これで盛り上げるのは難しいし、当時は服部良一さん含めて、みなさんすごくやりにくかったでしょうね』と。それでも本番では、ふだんとは違う“動けないステージ”を楽しみながら演じていらっしゃいました」 また第9週では、ついに菊地凛子演じる茨田りつ子がステージを初披露。スズ子とはまた違う、妖艶なパフォーマンスで視聴者を惹きつけた。 「スズ子とりつ子は、厳しいことを言いながらも最後はお互いに助け合う、といったライバル関係です。りつ子のモデルである淡谷(のり子)さんも非常に厳しい方で、『死ぬまで歌う』と、歌に対する思い入れがとても強かった。歌い方に関しても、笠置さんはステージからはみ出すくらいの勢いで歌い、かたや淡谷さんは本当に動かずに歌う、まさに“静と動”。その対比が面白く、本作りに取り入れた要素でもあります」 さらに福岡は「スズ子はメラメラと真っ赤に燃える“赤い炎”で、情熱的で動きがある。一方、りつ子は同じように燃えているけれど、“青い炎”。そのイメージを菊地さんにもご説明しながら、衣装や扮装を含めて役を作っていきました」と、相対する2人の人物像に言及した。 第45話で、スズ子は初めてりつ子の公演を目にして感銘を受ける。実際、趣里と菊地は現場でお互いのステージを鑑賞し合っているといい、「趣里さんは菊地さんの歌声を『カッコいい、素敵』とおっしゃっていましたし、菊地さんも趣里さんのパフォーマンスを『すごくエネルギーがもらえて、本当に素敵ね』とお話しされていました。ドラマでは『下品ね』などと言わなければいけませんが(笑)、実際にはすごく楽しんでいらっしゃいます」と舞台裏を明かした。 第10週の予告では、草彅剛演じる羽鳥善一がスズ子とりつ子に「2人の合同コンサート」を提案する場面も。福岡は「善一が2人を繋いで、『一緒にこの時代を歌って生きていこう、面白いことしようよ』と。りつ子の歌には、スズ子の歌とはまったく違う側面で魂を揺さぶられますし、2人がお互いに響き合うところを面白く描けているのではないかと思います」と新たなステージへの期待を煽った。 亡き母のためにも「ワテ、歌うわ」と再び歩き出したスズ子は、「福来スズ子とその楽団」としてどんなパフォーマンスを見せてくれるのか。真逆の魅力を持つ、りつ子とのシナジー効果にも期待したい。
nakaramu omame