わらび餅ドリンクが今ブーム!気軽に楽しむ「ネオ和菓子」としてZ世代が注目する理由
わらび餅ドリンクは「ネオ和菓子」でもある
2010年代後半から、多彩なフレーバーがありケーキのような盛りつけ方をしたおはぎが登場し、中のあんの種類が多彩になった回転焼き(大判焼き/今川焼き)も出てくるなど、和のおやつが進化している。また、虎屋や八ッ橋といった上生菓子の老舗などが出した洋風スタイルの商品もあり、そのようなアレンジをしたものが「ネオ和菓子」と呼ばれ、人気になっている。わらび餅ドリンクも、そうしたネオ和菓子の一つと言えるだろう。 進化したのは、和菓子が衰退の危機にあったからだ。あんこが嫌いな人たちが出てきた、老舗の風格ある店舗に入る勇気がない若者がいる、家庭で和菓子を出さなくなった、手土産需要が減ったなど、さまざまな事情がある。危機感を覚えた老舗が立ち上がると同時に、平成初期には広がっていたクリーム入りのたい焼き、1980年代に登場したいちご大福などの先行する流行もあり、気軽な和のおやつも進化した。そんなネオ和菓子のブームに、わらび餅ドリンクがのった側面もあるだろう。 ドリンクの映えも意識して提供する、さまざまなフレーバーを用意するなど、各店が現代の嗜好に合わせて商品を提供していることも、人気の要因だ。 さらに、タイパ飯など、ゆっくり座って楽しむのではなく、歩きながら、仕事しながらなどの楽しみ方が食全体で広がっていることも、片手で飲めるわらび餅ドリンクが受け入れられる要因だろう。 あまり噛まなくてよい柔らかい食べ物も、好まれる傾向がある。 考えられる要因を列挙していけば、人気になるのが当然と言えるわらび餅ドリンク。快進撃はいつまで続くのだろうか?
執筆者情報
■阿古真理 作家・生活史研究家。1968年、兵庫県生まれ。食や暮らし、女性の生き方を中心に生活史と現在のトレンドを執筆する。主な著書に『日本の台所とキッチン 一〇〇年物語』(平凡社)、『大胆推理!ケンミン食のなぜ』・『家事は大変って気づきましたか?』(共に亜紀書房)、『ラクしておいしい令和のごはん革命』(主婦の友社)、『日本外食全史』(亜紀書房)、『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた。』(幻冬舎)、『料理は女の義務ですか』・『小林カツ代と栗原はるみ』(共に新潮新書)など。 阿古真理さんの理想のキッチンに関するプロジェクトはご自身のnoteやYoutubeでもコンテンツを更新中です。 note https://note.com/acomari/m/m9283abc44cf1 YouTube https://www.youtube.com/@acomedia1919