Number_i、YOASOBIらのコーチェラ出演に見る、「日本の音楽」のポテンシャル
欧米で成功する術を示した、新しい学校のリーダーズ
YouTube配信を観るかぎり、会場を一番湧かせていたのは新しい学校のリーダーズだった。学ラン姿の4人は、「アイドル」の後「Pineapple Kryptonite」「Tokyo Calling」などの代表曲を披露。本人たちが振り付けを担当しているダンスで場を湧かせる。和太鼓の演奏と、富士山などの日本的記号をふんだんに使った映像で「from Japan」を演出していく。 メインボーカルSuzukaのドスの利いた低い声は良く通り、その眼力は周囲を圧倒していた。クラブミュージック由来の太いキックが4つ打ちで反復されると、それに合わせて観客は踊り出す。「ジャンプ!」といえば、一斉に跳ね出す。多くの観客を熱気の中に巻き込んでいた。 2021年には88Risingと契約し、海外での活動を拡げていた新しい学校のリーダーズ。その経験は、観客のテンションを掌握する術に繋がっており、配信で観ている多くの日本人にとっても圧巻の印象を与えた。欧米で成功するにはこうやるんだ。身をもって、海外のマーケットとステージでサバイブする方法を示しているようだった。 最後の「Giri GIri」ではAwichが登場しラップを重ねる。新しい学校のリーダーズとのコラボレーションは異様かつ新鮮だ。レオタードのようなボディコンシャスな服にマントを着込んで、クイーン然とした様子のAwich。アメリカで長く暮らしていたAwichは英語MCも堂に入っていた。
自らが背負うものをレペゼンしたAwich
続くAwichの単独ステージ。沖縄民謡をモチーフとした「THE UNION」で、耳にすっと入ってくるアクセントの効いたラップを披露。さらに、沖縄人としての誇りを歌う「RASEN in OKINAWA」をドロップ。米国基地問題が終わりをみせない地元沖縄の歌を、アメリカの地で歌うこと。Awichは、コーチェラでのステージで自らの出自を明確に、オーディエンスに伝えようとしていた。 「GIRA GIRA」では、日本からJP The Wavyも登場。そして「Bad Bitch美学」。男性権威に逆らう“悪い”女(=Bad Bitch)アンセムとしてのラップソングで、客演のNENE、LANA、MaRIが相次いで登場。そして、ゆりやんレトリヴァーも登場。芸人として知られるゆりやんだが、大きな舞台で強い存在感を示し、パフォーマーとしての実力を見せつけた。Awich一人ではなく、沖縄の人々や女性との「UNION」を示すステージ。彼女が背負っているものを、短い時間ではっきりとレペゼンしていた。