ロシアがICBMを発射、ウクライナ空軍が発表
ウクライナ空軍は21日、ロシアが同日早朝、同国南部アストラハン州から大陸間弾道ミサイル(ICBM)1発を発射したと発表した。攻撃はウクライナ中部ドニプロを標的としたもので、「さまざまな種類のミサイル」が使われたとした。 ロシアが現在の紛争で、ウクライナに向けてICBMを発射したのは初めて。核弾頭が搭載されていたことを示す情報はない。 ロシア大統領府(クレムリン)のドミトリー・ペスコフ報道官は、ICBM発射の報道に関してコメントを拒否した。ロシア国防省の声明も、発射については触れていない。 ウクライナのドニプロペトロウシク州のセルヒイ・リサク知事は、同州クリヴィー・リフがこの日朝、攻撃され、少なくとも15人が負傷したと話した。9人が病院で治療を受けているといい、容体は不明。 リサク氏はまた、ガレージ9カ所と企業1社が被害を受けたと付け加えた。行政ビルが破壊され、住宅ビル2棟も被害を受けたとした。 ■ICBMの「特徴」とゼレンスキー氏 一部のメディアは匿名の西側消息筋の話として、弾道ミサイルではあるものの、大陸間弾道ミサイルではなかった可能性があるとの見方を伝えている。 他方、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は通信アプリ「テレグラム」で、ICBMの「特徴」を備えた「ロシアの新しいロケット」にウクライナが攻撃されたと述べた。 ゼレンスキー氏はテレグラムで、「速度や高度などすべての特徴は、これが大陸間弾道(ミサイル)だと示している。現在、点検中だ。プーチンがウクライナを訓練の場に使っているのは明らかだ」と書いた。 大統領はさらに、「我々の狂った隣人はまたしても、本性を明らかにした。そして、いかに尊厳や自由や、他人の命全般を、嫌悪しているかも明らかにした。どれだけおびえているのかも明らかにした。あまりにおびえ切っているので、早くも新しいミサイルを使っている」のだと強調した。 ■ウクライナはATACMSやストームシャドウを ウクライナ軍は、この攻撃で飛来した巡航ミサイル「Kh-101」6発を撃ち落としたとしている。 一方、ロシア国防省は「イギリス製の巡航ミサイル『ストームシャドウ』2発を防空ミサイルが撃ち落とした」と主張した。ミサイルがいつ、どこで撃墜されたのかは明らかにしていない。 今回のロシアの攻撃は、ウクライナが外国製の長距離ミサイルをロシア国内に向けて発射した直後のタイミングで実施された。 ウクライナは19日、アメリカから提供された長距離ミサイル「ATACMS」をロシア国内の軍事基地に向けて発射したとされている。アメリカは17日、ATACMSをロシア国内への攻撃に使うことを許可したとされる。 ウクライナは20日には、イギリスから供与された長距離巡航ミサイル「ストームシャドウ」をロシア国内の標的に向けて初めて発射した。 ICBMは射程距離が最長5500キロメートルを超え、事実上、世界のどこに対しても攻撃が可能。通常兵器のほか、核弾頭も搭載できる。最初はロケットで動力を得て、その後は無動力の軌道で目標に向かう。 (英語記事 Kyiv says Russia fired intercontinental ballistic missile in Ukraine attack )
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