「“マルケスが寄った”と言い放つアコスタがモヤモヤを晴らした」【ノブ青木の上毛グランプリ新聞 Vol.12】
これはあまり望ましいことではない。マルケスのまわりでクラッシュが多いのは確かで、彼が絡むと通常のバトルとは違うちょっとイヤなドキドキ感がある。「大丈夫か、大丈夫じゃないか」「引くか、引かないか」「行くか、行かないか」という判断基準が人と違い過ぎるマルケスは、それゆえに圧倒的な戦績を残しているのだけれど、やはりリスクが高いのだ。 「勝ちたい」という意思の強さは、チャンピオンになるために絶対に必要な資質だ。最低条件とも言える。そして、人と違う武器を持つことも重要だと思う。しかしマルケスの場合、ともにバトルするうえでもっとも重要な安全基準が、他のライダーとあまりにも違い過ぎる。アコスタの「マルケスが寄った」発言は、非常に信憑性が高い。そのうえで改めてあのバトルを見直すと、「確かにね……」と思えてしまうのだ。 マルケスは2戦目にして、徐々に本能を解き放ち始めた。ドゥカティに慣れるために利かせていたリミッターを解除しつつある。だから転倒も目立ち始めたし、だから今回のクラッシュも発生してしまったのだと思う。 そして本能全開になったマルケスなら、得意とする第3戦アメリカズGPで優勝してもおかしくない。……が、とにかく彼自身も、そしてまわりも無事にレースを終えてほしい、と切に願う。ありあまる能力も、ちょっと考えものだ……。そして、マルケスに近付くことのリスクをすでに的確に察知しているアコスタは、やっぱり恐ろしい子である……。 ──スルリと抜け出すアコスタ。ポルトガルGPを象徴するシーンとなった。 ●監修:青木宣篤 ●まとめ:高橋剛 ●写真:Michelin, Red Bull ※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。