カメラに写る「10分後の死の予告⁉」運命を回避できるのか?予測不可能なミステリーに「続きが気になる」の声【作者に聞く】
ある事故の後遺症で激しい頭痛が起きるとカメラに「10分後の未来が写ってしまう能力」を得た主人公・星野星哉。病院の診察を終えるとカメラに10分後、車にひかれてしまう男性の未来が見えた。しかし、彼は星哉の同級生で――?今まで死んでいく人たちに何もできなかった星哉は「未来を変えたい!」と、動き出す。それがすべての始まりだった――。現在Amazon Fliptoonで連載中のつのだ ふむ(@tsunoda_fumm)さんの創作漫画「運命のリフォーカス」を紹介するとともに、こだわりや制作秘話を聞く。 【漫画】「運命のリフォーカス」を読む ■星哉のカメラには「10分後に死ぬ人の写真が写る」運命は回避できるのか? 2カ月もの間、事故で昏睡状態だったカメラマンの星野星哉。事故後、激しい頭痛が起きるとカメラに「10分後に死ぬ人の写真が写る」という能力を得てしまった。これまで何度も写真に写る人が死んでしまうのを目の当たりにしてきた。「自分には何もできない」と今までは写真を消去し、すべてをなかったことにしていた。 ある日、病院の診察を終えてフロアに戻ると、激しい頭痛とともに星哉のカメラに1人の男性の写真が写った。会計待ちで椅子に座っている男性だ。彼は10分後、車にひかれてしまう運命。以前どこかで会ったことがあるような面影を見つめていると、小学校の同級生「大谷力」だと判明‼同級生を助けたい星哉は、何もできないと諦めていた「運命」を変えようともがき始める。 ■制作過程も全部世に出して見せてしまう「それも含めておもしろさにしていこう」というスタンス ――本作でこだわっているところや工夫、苦労しているところはありますか? こだわりについては、内容面ではとにかく「なぜ、自分がこの物語を描くのか?」というのを忘れずに描いていくこと。「運命のリフォーカス」は、「10分後に死ぬ人の写真が写る」という能力を得てしまった星野星哉が、その写真を元に運命を変えようともがく話です。 僕自身、いまだに作家としてくすぶってるのですが、毎日毎日「おもしろい作品を描けるようになろう」「自分の人生を良くしよう」ともがいています。これはもう、10年以上続けているなと思います。それで、少しずつ自分の運命を自分で掴んでいってる気がするんです。 このことを漫画で描いて自分を勇気づけたいんじゃないか。10年前の自分を奮い立たせたいんじゃないか。最近、そう思ってきました。どんな突飛な設定で壮大な世界観の物語を描くのだとしても、自分の中にある「良く知っている感情を正直に描くこと」「誰に向けてどんな思いを届けたいのか」を手放さないように、作っていきたいです。 あと今は、「作り方」にこだわってます。ウェブトゥーンと呼ばれる縦読みのフルカラー漫画は、チーム体制で分業するのが主流なのですが、僕はネームから作画カラーまでを1人でやって、週刊連載で回すにはどうしたらできるのか?と、試行錯誤しています。 そのため、毎話カラーや線、背景の作り方を変えて試したり、ネームの考え方を変えて試してみたり、いろいろやってみています。今、14話まで公開されていますが、全部実験段階で見せ方に一貫したこだわりがある作品にはあまり見えないかもしれません。15話で第1章が終わるので、そこまで描いたら1話から全部描き直します。15話までに、内容、描き方、どこをどう直したらよりおもしろくなるかを見つけて、全部リニューアルしてからもう一度世に出します。 そういう過程も全部世に出して見せてしまう、「それも含めておもしろさにしていこう」というスタンスが「僕のこだわり」とも言えます。僕の場合は、いい面だけを見せようとしてカッコつけてもサマにならないし、おもしろくならないので、こうやって「さらけ出していくスタイル」でいきます。 ――Amazon Fliptoon縦読みマンガ大賞で準グランプリ受賞したそうですが、感想はいかがでしょうか。 この作品の1話は、正直1年以上かかっています。100ページどころじゃない枚数を描いた末に今の1話があります。それは読者には全く関係のないことなので、「こんなに時間をかけている作品がなんの賞にも引っ掛からなかったら…」「賞のために1カ月くらいで描いた人の作品に負けたら、流石に落ち込むな…」とか思って、発表までずっとソワソワしていました(笑)。 結果、準グランプリだったので、ここ数年では子どもができた時、子どもが産まれた時の次くらいに喜びましたね!受賞を知った直後に奥さん、子どもと3人でなぜか家族写真を撮りました(笑)。 ――Xで今後の展開を読者のみなさんに質問しているのを拝見しましたが、投票によって展開を作られているのでしょうか? 展開の具体的な参考にはしませんが、「人にはどんな感情体験があるのだろう」というのを知りたくてアンケートを取ったりしています。それと、読者と常に身近な存在でありたくて。「教室の隅でノートに描いた漫画を友達に見せる」みたいな具合で創作をし続けたいと思います。だから、自分の描いた漫画をもとに、たくさん会話をできたらいいと思ってます。もっともっとしていきたい。 ――ミステリー要素が高く、思いもよらない展開になっていくので、続きが楽しみです!現在14話まで公開されていますが、完結まではどのくらいですか? 15話で第1章が終わり、主人公が物語のスタートラインに立ちます。今、描きたいと思ってることを描くだけでも40話は超えると思いますし、人気が出れば100話、150話、と続けられるポテンシャルがある物語だと思います! ただ僕の描き方として1話ごとに「最後これ、どうすんの?」という終わり方で描いて、自分も本当にどうするかわからず、来週の自分を苦しめながら描くので、どういう展開をしていってどう着地するのか自分でもわからないです…。来週のネームが見れるカメラが欲しいのですが。 ――そのほか、制作の裏話などあれば教えてください。 作中登場する風景や室内の風景は、ほぼ僕の家や家の近所の風景を資料にしています。自分で撮りに行ってます。夜の風景は、ゴミ捨てに行った帰りに撮りに行ったり。いや、巨匠作家だって全然やると思うんですが、昔自主映画を作っていた頃のフットワークの軽さを思い出すんですよね。「あ、このカット背景足りない」と思ったら、パッと夜中に撮り行ったりした時に「なんかすごく下積みしているなあ」と、今でも感じる瞬間ですね…。売れたいです。 ――ほかにどのような漫画を描いていますか? 「ロケ弁の女王」という作品では、ドラマ撮影現場の制作部の人を主人公に忙しい中でも食事を味わうことの大切さ、仕事と食事を共にする中で紡がれてく人間ドラマを描きました。また、「糸島STORY」では、自分の糸島移住とあらゆる出来事や人との出会いを記録した日記漫画を描きました。 「リアル・ユー」では、自分の奥さんとの出会い、コルク・佐渡島庸平さんとの出会いで、どんどん自分の人生が転がり、変わっていったことを僕なりのわらしべ長者的な現代おとぎ話に変換して描きました。 「REACH-無限の起業家-」では、アメリカの劣化した水道管を直す壮大な事業を、立ち上げた男の実録物語を本人を取材して描きました。すべて「出会いをぜんぶ漫画にする」という、自分の創作哲学に基づいて、描いています。その創作哲学にたどり着く、己のブランディングを見つめ直すべくブランディグのプロに出会いに行ったドキュメンタリー漫画「ブランディングマン」という作品も描きました。 友人を助けたくて、車いすのまま星哉は走り出した。この転機が星哉の運命を大きく変えていくことになる。そして、同級生との偶然の出会いも、必然だったかのような予測不能な展開へ進んでいく。ユーザーからは「能力を受け入れたこれから、主人公がどう変化していくかに期待!」「先が気になる!続き楽しみ」と期待値も高い。続きはAmazon Fliptoonにて、全話無料で読むことができる。 取材協力:つのだ ふむ(@tsunoda_fumm)