認知症…物忘れなどの“頻度・程度”に注目 基本法成立「正しい理解を」…専門医に聞く
◆発症前後で人生を「区別」しないことが大切
──共生していく上で我々が一番理解すべきところは? 今までのオレンジプラン(認知症に関する国の施策)の中では、共生という考えで、認知症になっても住み慣れた地域で、健やかに、健康な人と一緒に過ごせるみたいなことだった。そして、令和元年からは「共生」だけでなく、「予防」という考えが入って、ものすごく大きな反対意見があったんです。“予防をさぼったがために、認知症になった”という誤解を生むと心配された。 ここで「共生のためにどう理解するのか」という質問に答えると、認知症になってから対策しても駄目なように、共生も、認知症になってからだと、一方は認知症の人、もう一方は健常者で、そこから一緒にやろうとしてもなかなか難しい。だから大事なのは、「認知症は(症状が出る)20年前から始まるんだ」といったことを普及させて、予防活動からみんな一緒にやっていくこと。その中で、残念ながら認知症になってしまう人がいるけど、認知症を発症した後の世界だけでなく、その前から一緒にやっていくことが大切です。 だから知識をきちっと普及しなくちゃいけないと言っていて、誰が認知症か、健常者かと区別がない段階から予防活動も始めた方が、誤解と偏見がないし、差別もない、理解も深まる。つまり社会生活というか人生を、認知症の発症前後で区別しないことが大切なんです。 令和元年からの認知症施策は、「共生と予防」だとせっかくなったので、それと基本法はマッチングしないといけない。認知症の前段階から地域でともに予防活動をしていくことによって、共生は結果として生まれてくると思います。