玉名署員自殺訴訟、熊本県の敗訴確定へ 地裁判決受け入れ、控訴せず 遺族「犠牲者、二度と出さないで」
2017年に玉名署員の渡邊崇寿巡査=当時(24)=が自殺したのは長時間労働が原因として、遺族3人が熊本県に計約7800万円の損害賠償を求めた訴訟で、県は計約6180万円の賠償を命じた4日の熊本地裁判決を受け入れ、控訴しないと決めた。県警が控訴期限の18日、報道陣に説明した。遺族も控訴しない方針で、判決が確定する。 県警監察課は「当時は勤務環境の整備が十分ではなく、判決で県警の責任が認められた」と説明し、遺族に謝罪する意向を示した。宮内彰久本部長は「判決を重く受け止め、二度と悲しい出来事が起きないよう、組織を挙げて職員が働きやすい勤務環境の構築に努める」とコメントを出した。 県警の控訴断念を受け、渡邊さんの母の美智代さん(64)は「(仏前に)『お疲れさま。良かったね』と伝えたい。県警は崇寿のような犠牲者を二度と出さないでほしい」と話した。 判決によると、渡邊さんは17年4月から勤務した玉名署刑事課で長時間労働が続き、精神障害を発病して9月に自殺した。
判決で地裁は、当時の上司らが渡邊さんの時間外労働を削減する注意義務を怠ったと指摘。死亡前5カ月の時間外労働は当直勤務を含めて月143~185時間に上ったと認定した。(清水咲彩)