ブラジル出身の元スペイン代表ドナト氏「スペインは差別の国ではない。ヴィニシウスは謝るべきだ」「なぜほかの選手は彼のような目に遭っていない?」
ブラジルのリオデジャネイロ出身の元スペイン代表MFドナト氏(61)が、レアル・マドリードに所属するブラジル代表FWヴィニシウスの発言について私見を述べた。 ヴィニシウスは先に応じた『CNN』とのインタビューで、スペインから人種差別的な行為をなくす必要性を説くとともに、今後も変化がなければポルトガル、モロッコと共催する2030年W杯の開催地から外れるべきと発言。「スペインが進化をしていくこと、誰かを肌の色で侮辱する行為がどれだけ深刻であるかを理解してくれることを願っている。2030年までに存在する進化の余白は非常に大きい。もし進化がなければ、(W杯の開催)場所を変えるが必要があると思う。選手が快適さを感じられなければ、差別に苦しむことはないと確信できなければ、(W杯開催は)少し難しいだろう」と語っていた。 W杯開催の中止も促したヴィニシウスのこの発言は、スペイン国内で物議を醸すことになり、マドリードのホセ・ルイス・マルティネス=アルメイダ市長が「スペイン社会全体を差別主義とみなすことは許されない。訂正と謝罪を求める」、スペイン代表のルイス・デ・ラ・フエンテ監督が「スペインは差別の国ではない。ほかの国が模範として見るべき国だ。もちろん、嘆かわしい人間もいるがね」、レアル・マドリードのDFダニ・カルバハルが「スペインは差別の国じゃない。W杯を取り上げられるには値しない」と語るなどしている。 そしてブラジルとスペインの両国と深いつながりを持つドナト氏も声を上げた。同氏は1988年に ヴァスコ・ダ・ガマからアトレティコ・デ・マドリードに加わってスペイン上陸を果たし、1993年に加入したデポルティボで大きな足跡を残した人物だ。あの“スーペル・デポル”と呼ばれたチームの一員として、ラ・リーガ初制覇と2度のコパ・デル・レイ優勝に貢献し、また1994年にはスペイン国籍を取得して同国の代表チームでもプレーしている。 ドナト氏にとって、ヴィニシウスの今回の発言はネガティブな意味で「あまりに強烈」だったという。スペイン『ラディオ・マルカ』とのインタビューで、次のように語った。 「ヴィニシウスは素晴らしい選手だ。ただ、彼の人生で何があったかは預かり知るところではないが、そうした発言はあまりに強烈だ」 「しかし、なぜ彼のチームのほかの選手たちはそういった目に遭っていないのだろうか? スペインが差別主義と言うのは、嘆かわしいことだよ。彼は謝罪をしなくてはいけない」 ドナト氏がプレーしていた頃は、スタジアム内の一部観客が、現代よりも激しい形で差別的言動に及んでいたことが想像できる。だがフットボール界のレジェンドの一人は、そうしたことを気に留めていなかったという。 「ヴィニシウスはピッチ内のことだけに集中すべきだ。ピッチ外のことは忘れた方がいい」 「自分がボールを拾うとき、人々は猿の真似をしていた。だが私は、そんな人たちを笑い飛ばしていたんだ」 「彼らのチームにだって、有色人種の選手たちはいたのだからね」