センバツ2023 3回戦 高知の粘り、観客魅了 専大松戸に好ゲームも敗退 /高知
第95回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第8日の27日、高知は3回戦で接戦の末4―6で専大松戸(千葉)に敗れ、4強入りした第85回大会(2013年)以来の準々決勝進出はならなかった。最後に力尽きたものの、粘り強い戦いぶりで今大会2勝を挙げた選手たちに観客席から温かい拍手と声援が送られた。【山口敬人、矢倉健次】 高知は1回戦で北陸(福井)、2回戦で履正社(大阪)を降した勢いそのままに、初回に攻勢をかけた。先頭の木村星太朗(じょうたろう)が四球で出塁すると、高木心寧(もとやす)が左前打で続く。3番に続いて4番も三振したが、その際に木村が三盗。これが捕手の悪送球を誘って先制点を奪う。さらに2死二塁から門野結大(ゆうと)が左中間に適時二塁打を放ってリードを広げた。 二回に2点本塁打や守備のミスで4点を奪われ逆転されたが、アルプス席で和泉凪応援団長(17)は「まだまだこれから。勝利を信じて声を出し切りたい」と、応援のボルテージをさらに上げた。 三回に高木の中前打を足がかりに1点差に迫る。その後こう着状態が続いたが、雨で試合が流れた26日に主将の西村侑真が「後半勝負になる」と語っていた通りの展開に。 八回、2死から高塚涼丞(りょうすけ)、山平統己(とき)の連続二塁打で追い付いた。山平は「直球だけを狙って打席に入った。打ったのは外寄りの直球。手応えはあった。高塚が好機を作ってくれたので、強く打つことだけを意識した」と振り返った。 同点にした直後、守りにほころびが出て2点を勝ち越されての悔しい敗戦。西村侑真は「2勝を挙げたのは自信になったが、まだまだ力不足。守りを鍛え直して甲子園に戻ってくる」と夏の巻き返しを誓った。 ◇さらなる高みへ ○…アクシデントにめげず、2年生右腕・辻井翔大は持ち味を十分に発揮した。五回から3番手として、3試合連続の登板。この日も鋭い腕の振りから繰り出す右打者への内角直球や、切れのある変化球で「0」を並べた。七回の打席で「左耳の上あたり」に死球を受けたが、「くらっとしたけど、診てもらって大丈夫だった」と続投。その裏は相手を3者凡退に抑えた。 追い付いた直後の八回に勝ち越しを許して降板したが、「強気の投球は全国で通用した。夏に向けて勝てる投手に成長したい」。2勝の立役者は、さらなる高みを目指す。