「ドローンの街」目指す千葉・東庄町 災害時や買い物難民への活用想定し積極的に実証実験
災害時の対応強化や買い物難民らのサービス拡充に向け、千葉県東庄町が、小型無人機ドローンの活用に乗り出している。4~6日には、ドローン関連団体と連携し、買い物難民を念頭に置いた弁当配送の実証実験を行った。今後も実験を重ねる計画で、効率的な運用方法を探りながら、実用化にもつなげたい考えだ。 ■風の中でも安定飛行 「ドローンが来たよ!」 6日、同町スポーツ広場の上空に弁当を載せたドローンが現れると、実験を見守っていた地域住民らから大きな歓声が上がった。 実験はドローン操縦者のための講習施設「東庄町ドローンパーク」を運営する一般社団法人国際ドローン協会と共同で実施した。使用したのは、時速約50キロで飛ぶ大型ドローン(直径約3メートル、重さ約60キロ)。荷物は重さ30キロまで運ぶことができる。この日は保冷バッグに詰めたカレー弁当14食(約7キロ)を載せ、距離6・1キロを10分ほどかけて飛行した。操縦は離着陸を除いて自動飛行だ。 風速12メートルの風が吹いていたが、カレーがこぼれたりすることもなく、安定飛行を確認。実験に参加した国際ドローン協会の笠井貴義さんは「配送は問題なくできた。データを検証し、効率的な運用につなげたい」と話した。 ■買い物弱者支援や災害対策にも 東庄町がドローンの活用に乗り出す背景の一つに、過疎化がある。65歳以上の割合を示す高齢化率は41%(11月1日時点)。公共交通機関が充実していない地域もあり、免許返納の流れも加速する中、今後、買い物が困難な高齢者が増えることが予想されるからだ。 今年6月には、災害時などでドローンを活用しやすくするための包括連携協定を国際ドローン協会と結んだ。災害時には、物資輸送だけでなく、道路の崩落状況を調査したり、機体にスピーカーを装着することでドローンが防災無線の代わりにもなり、活躍の幅も広がる。 来年2月には、今回よりもさらに長距離で、重いものを運べるかを検証する。災害時を想定し、水などが備蓄されている倉庫から各避難所への配送や、ドラッグストアから買い物難民への配送など多様なルートを設定して行う計画だ。 同町総務課の担当者は「災害時の対応や買い物が困難な人への支援などで、ドローンは幅広く活躍できる。ドローンの街として浸透させ、関連企業の誘致にもつなげていきたい」と力を込めた。(松崎翼)
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