東証元社員、違法性認識か 当初は情報伝達拒否 インサイダー事件
東京証券取引所の元社員が業務で知ったTOB(株式公開買い付け)情報を漏えいし、インサイダー取引に関与したとされる事件で、元社員が当初、情報伝達を求める父親に「(東証の)社員だから教えられない」と断っていたことが24日、関係者への取材で分かった。 違法性を認識していた疑いがある。 証券取引等監視委員会は23日、金融商品取引法違反(情報伝達)容疑で細道慶斗元社員=懲戒解雇=を、同法違反(インサイダー取引)の疑いで父親を告発。東京地検特捜部が刑事処分を検討している。 関係者によると、父親は細道元社員が上場企業の適時開示を担当する「上場部開示業務室」に配属されたことを知り、未公表情報の伝達を要求。当初、細道元社員は「社員だからできない」と拒否していたが、その後、口頭やLINEの通話機能で情報を漏えいするようになった。 父親は細道元社員からの情報を基に少なくとも3銘柄で計1万5200株、約1700万円分を買い付け、300万円を超える利益を得ていたという。 監視委の調べに細道元社員は容疑を認め、父親もおおむね認めているという。 監視委は23日、金融庁に出向していた佐藤壮一郎元裁判官(32)=懲戒免職=についても、4月の出向直後から10銘柄の株計約950万円分を不正に買い付けたとして、金商法違反(インサイダー取引)容疑で特捜部に告発した。