櫻坂46&日向坂46、アイドルシーンの新陳代謝に一矢報いるか オーディション同時開催の意図を考える
幅広い逸材の発見、良質な世代交代の実現へ
日向坂46に関しては、一期生の加藤史帆、東村芽依、ニ期生の丹生明里、濱岸ひよりの4名が、9月18日リリースの12thシングル『絶対的第六感』の活動をもって卒業することを発表。グループの中心を担い、モデル業やバラエティ番組などソロでの活躍も目立つメンバーであることから、その衝撃は大きかった。櫻坂46も2023年11月に一期生の土生瑞穂、2024年2月に同期の小林由依が卒業しており、刻々と世代交代が進んでいる。 ただ本当の世代交代に必要不可欠なのは、新しい才能の台頭だ。もちろん両グループともに現メンバーも豊かな顔ぶれが揃っているが、層を厚くしていかないと、“体制”というものはすぐに崩れてしまう。今回の単独オーディションの同時開催は併願可能ということで、運営的には、幅広い逸材が発見できることを期待しているのではないか。 たとえば「日向坂46の方向性ではないが、櫻坂46には合うのではないか」という応募者もいるかもしれない。選考方法の詳細はわからないが、両グループの運営チームが連携を取りながらそういった才能を見つけ出すことも、おそらく今回の場合は可能だろう。このような過程が、良質な世代交代の実現につながるように思える。 ちなみに筆者が楽しみにしているのは、先に記したオーディションのキャッチコピーの意味するものである。櫻坂46の「君ガ咲ク。」は、ずっと眠っている自分の力を、これを機に思いっきり発揮してみないかという問いかけのように思える。日向坂46の「好きで。好きで。好きだから。」からは瑞々しい情熱と高揚感が漂っており、応募者に、これまで自分がどんな物事に向き合ってきたのかを再確認させるようなフレーズに思えた。つまり、キャッチコピーのカラー自体はかなり異なる。併願可能とはいえ、応募者がそれらのコンセプトにどれだけ近づけられるかも、重要になるのではないだろうか。 同時開催の単独オーディションでどんな才能が見つかるのか。原石は掘り出されるのか。数年後、グループを牽引するだけではなく、日本全体を元気づけるようなパワフルなメンバーが登場してほしい。
田辺ユウキ