パリ五輪金メダリストの叶わぬ夢「どのチームでプレーしたいか? アスレティック・ビルバオだ」
ラージョ・バジェカーノに所属するFWセルヒオ・カメージョが、プレーしてみたいクラブを明かした。 2001年2月10日生まれのカメージョは現在23歳。アトレティコ・マドリードのカンテラ出身で、2019年5月にトップチームデビューを果たした後、2022年夏から現所属のラージョ・バジェカーノでプレー。昨シーズンは公式戦33試合に出場し4得点を記録すると、先のパリオリンピック2024に臨んだU-23スペイン代表に選出され、U-23フランス代表との決勝戦では2ゴールを決める大活躍。8大会ぶりの金メダル獲得の立役者となり、次期フル代表の点取り屋としても期待を寄せられている。 そんなカメージョには、叶うことのない願いがあるようだ。スペイン紙『マルカ』のインタビューに応じた同選手は「どのチームでプレーしたいか? アスレティック・ビルバオだよ。バスク人の家族がいないから、それは困難だけどね」と告白した。 アスレティック・ビルバオは、言わずと知れた“バスク純血主義”を掲げるクラブ。1995年に下されたボスマン判決の影響もあり、近年は若干緩和されているものの、入団を許されるのはエウスカル・エリア(バスク地方)にルーツを持つ選手のみ。そのため、マドリード生まれ、育ちで、両親もバスク人ではないカメージョにとって、そこはプレーすることのできない“聖域”なのだ。 ただ、スペイン3強の一座を担っているアトレティコ・マドリードのカンテラーノで、“ラ・ロハ”入りも近いと目される中、欧州メガクラブを差し置いて、アスレティック・ビルバオの名前を挙げたカメージョ。実は以前、とあるインタビューにて自身の価値観を語ったのだが、それが大きな反響を呼んでいた。 スペイン最高峰のリーグで活躍する選手ならば、給与もそれなりの金額を受け取っていることは想像に容易い。が、カメージョはその使い道について、「もちろん、自分だって気まぐれに何かを欲しくなるときはあるけど、決して無駄使いしないように心がけている。例えば、母親の月収が700ユーロだとしたら、僕が600ユーロのブランド物を買うようなことはしないだろう。その600ユーロを母に渡すんだ。僕はお金のことに関して、とてもよく教えられてきた」と語るなど、慎ましさを示していた。 パリ五輪の金メダリストとして脚光を浴びようとも、決して驕らず、地に足をつけるカメージョ。揺るぎない信念を持っているからこそ、マネーゲーム化が急速に進んでいる現代フットボール界においても、自前で育て、戦うという古き良き伝統を守り続けるアスレティック・ビルバオの高尚さに共感したのかもしれない。
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