東京タワーが開業55周年 「脱・観光地」目指す
転機は夜間ライトアップ
そんな折、転機となったのは、1989年(平成元年)から始まった夜間ライトアップだ。このライトアップは「東京の夜景を変えた」といわれるほどのインパクトで、照明デザイナーの石井幹子(もとこ)さんの監修によるもの。それまでは、塔の頂点から四隅に沿って電球で飾るイルミネーションだった。また営業時間も、夏場でさえ午後8時までだったが、ライトアップ開始に合わせて延長された。 ライトアップを始めた1989年に通算来場者が1億人を突破、年間でも400万人台に届くくらいまで伸びていった。しかしまた次第に客足は落ちる。開業50周年の2008年には、東京タワーが七色に変化する新しいライトアップ「ダイヤモンドヴェール」をスタートさせた。これは基本的に土曜日の午後8時から10時までの時間限定で登場するもの。来場者は、東日本大震災があった2011年に落ち込んだが、2013年6月には通算来場者が1億7000万人を突破した。
スカイツリーとは「共存共栄」
2012年5月22日、高さ634メートルの東京スカイツリー(東京都墨田区)がオープンした。早くも東京の人気観光スポットとなり、開業から1周年での展望台への来場者は638万人に達した。東京タワーの人気に影響はあったのか。来場者数でみると、東京スカイツリーが開業した2012年度は243万人で、前年より2万人だが微増しているという。 東海林常務は「東京全体が盛り上がって人が増えることはいいこと」だと解説する。下町に最新のタワーがあって、山の手に歴史あるタワーがあるということは、東京全体の観光としていいバランスで、相乗効果が期待できるのだという。東京スカイツリーの存在が、東京タワーにとってマイナスということはないようだ。 また、東京タワーの展望台から見て、東京スカイツリーがある北東方向は、以前は人気がない方角だった。それが最近は、東京スカイツリーをスマホなどで撮影するお客さんが増加。景色のコンテンツとしても、良い効果が出ているという。