トップアスリートが実践する睡眠術 「R90テクニック」、”睡眠の質”を高めるその方法をスリープコーチが解説
サイクル通り眠れなくてもOK!
基本、サイクルは休日も変えないようにする。 「とはいえ忙しい日もあります。そんなときも起床時間は変えず、睡眠時間が減っても寝る時間を遅らせること。週4日以上、5サイクル眠れたらOKです」 アスリートは1週間単位でサイクルを見直すという。 なぜなら、海外遠征が多い競技は時差ボケで体調が変動するため、1つのサイクルに固執できないからだ。 「どんな選手でも回復するのに4日~1週間かかります。サッカーのように資金が潤沢な競技なら1週間前に現地入りして調整できますが、マイナースポーツだとそうはいかない。そうした選手は、日本にいるときからその国の時差に合わせて生活するよう、サイクルを設計し直すのです」
光を味方につけて眠りをコントロール
R90を正しく、効果的に実践するには、並行して体内時計を整えることだ。 「体内時計は24時間より少し長めに設定されているので、毎朝日光を浴びてリセットする必要がある。朝からカーテンを閉め切り、一日中オフィスの中というかたは、確実に体内時計が乱れています」 最近のオフィスは窓も大きく明るそうだが…。 「『ライトメーター』などの照度測定アプリを使って周辺の照度(※)を測ってみてください。朝、体内時計をリセットするために必要な照度は最低2500ルクスですが、室内で400ルクス程度、窓のある日中のオフィスでも100~数百ルクス台。思ったより明るくないことに驚くでしょう。窓を開け、空を見上げて初めて、2500ルクス以上の光を獲得できるのです。 朝は15秒空を見上げ、ランチは外のテラス席か、室内なら窓側で。逆に、夜は100ルクスくらいの照度で過ごすようにしましょう」 大谷選手がすごいのは長く眠れることではなく、睡眠の勝ちパターンを知っていること。私たちにだってできないことはない! (※)照度とは、物の表面を照らす光の明るさのことで、「ルクス」という単位で表される。測定アプリは簡易版なので不確実ではあるが、目安として充分役立つ。 ◆教えてくれたのは:スリープコーチ・矢野達人さん Jリーガーや車いすバスケット選手などアスリートの睡眠を指導する傍ら睡眠サロン、睡眠クリニック、睡眠治療院、快眠温泉旅館の運営など、睡眠に関するあらゆる事業に携わっている。 ※女性セブン2024年5月30日号