世界の大空へと羽ばたく稀有な才能。神村学園高校・名和田我空が携える「サッカーで生きていく」覚悟 【NEXT TEENS FILE.】
名和田は2年時から“14番”を託されてきた。高橋も大迫も背負ってきた、神村学園にとって特別な番号。まだ付け始めたばかりのころに、その重みを語っていた言葉を思い出す。
「最初にもらった時は素直に嬉しかったですけど、チームを勝たせるのがエースナンバーの仕事だと思うので、神村学園の14番を背負っている以上は、チームを引っ張って、勝利に導きたいです。橘田健人さん(川崎フロンターレ)や大悟さん、塁さんとプロになっている選手がこれまで付けてきた番号なので、重みというのは凄く感じますし、背負えていること自体が凄く光栄なことなので、自分なりの14番像を作っていきたいです」
最高学年となった今シーズンは、大迫と同様に“14番のキャプテン”として、チームを先頭に立って引っ張り続けてきた。だが、夏のインターハイでは決勝まで勝ち進んだものの、昌平高校に逆転負け。中学3年生以来となる日本一には、あと一歩のところで届かなかった。大会後に厳しい表情で口にしていたことも印象深い。
「正直2位が本当に悔しいなというのは凄く感じました。来年や再来年になったら、2位のチームのことはみんな忘れていると思いますし、それこそ記憶という意味では1回戦負けも2位も変わらないので、『選手権では1位を獲らないと意味がないぞ』ということはみんなで言っています」
だが、現実はそう甘くない。11月17日。選手権鹿児島県予選決勝。タイムアップのホイッスルが鳴ると、名和田はピッチに仰向けに倒れ、両手で顔を覆う。後半終盤に鹿児島城西高校に奪われた1点を跳ね返せず、まさかの敗戦。高校最後となる冬の全国の舞台に立つことは叶わなかった。
この1年は常に周囲からの注目にさらされてきた。それこそプレミアリーグのアウェイゲームに行けば、試合後の名和田のところにはサインを求める人たちの長い列ができ、1人1人に丁寧な対応を続ける光景も、強く記憶に残っている。
その中には自身もサッカーをしているであろう、子どもたちの姿も多くあった。「自分も小さい頃は高校サッカーに夢を与えられたからこそ、次は自分たちが夢を与える立場だと思っているので、いろいろな人を魅了したり、小さい子たちに夢を与えたりするためにも、高校生として振る舞いもきちんとしないといけないと思ってきました。やっぱり小さい子たちに声を掛けられるのは嬉しいですね」。キラキラした視線を向けてくる子どもたちの眼差しが、小さくないモチベーションになっていたことは想像に難くない。
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