柳葉敏郎、『室井慎次』は『踊る大捜査線』ではないと明言
現在、彼は湖のほとりの古い家に住んでいることが予告編で確認できるが、「室井は、あのボロ屋を掃除して整理してリフォームして、新しく住めるようにしました」とのこと。「組織の中でも彼は同じことをしていたと思うんですよ。決して目立たないささやかなことを少しずつ変えることで、組織をリフォームしようとしたはずなんです。ね、変わってないでしょ?」と、柳葉は茶目っ気たっぷりにほほ笑んだ。
そして、室井が変わったのはこの段階ではないと断言する。「青島と出会ったときです。彼と湾岸署のみんなによって、考え方が明らかに変わった。いや、変わったというより、自分の奥底にあったものに改めて気づいたんだと思うんです。室井は青島によって、人間らしい感じ方や考え方に改めさせてもらったんだと思います」と、当時の室井の心境を語る。そして青島と室井は、それぞれの立場で正しいことをしようと“約束”を交わした。シリーズ全体を貫くそれを、室井は違えたのか? 「室井は偉くなれなかったけど、それは形としてであって、青島が人間として感じて、納得してくれることには、向かっていると思います」ときっぱり。「青島の期待には応えたいでしょうね。彼が、室井の人生において、大きな分岐点になったのは間違いないので」と、“約束”への思いを明かした。
室井は、柳葉にとっては「親友」だという。「ふつうに、人が“親友”という存在に感じる思いを、室井に感じています。わかりやすく言えば、室井は信じることを貫き通していく強い気持ちを持った男なんですが、上やら周りやらからいろいろ言われて、屈辱的な思いも敗北感も味わったと思うんです。その環境の中でどう突き進めるのかと、室井は奮闘しました。現実は厳しいと思いますが、少しでもその思いを抱えて、柳葉も突き進んでいきたいなと思っています。それは、室井を演じて、その生き方を見て、教わりました」と語る。だが「『もうちょっとやり方はあったんじゃねえの?』とは思いますけど」と笑った。