積み上げてきた“レンガ”の先にある楽しさ。ファジアーノ岡山・梁圭史監督が感じる「プレミアリーグを戦うこと」の意義 高円宮杯プレミアリーグWEST ファジアーノ岡山U-18×鹿児島城西高校マッチレビュー
だからこそ、その視野は岡山のサッカーそのものにも向けられている。「今日は来ていないんですけど、政田でやる時はジュニアユースの選手たちが来てくれて、トップチームのサポーターの方と混じって応援してくれることが凄く力になりますし、そういう選手がプレミアのゲームを見てくれることで、『自分もこの舞台でやりたい』と思うような好循環になったら、より素晴らしいなと思いますよね」
「岡山の他の2種年代の指導者の方も試合を見に来てくれたり、僕らを見に来ているかはわからないですけど(笑)、プレミアリーグを見ることで基準も絶対に上がると思うので、それはかなり良い環境ですよね。それこそトップチームもJ1という目標があることによって、いろいろな視野も、見える景色も変わってくると思いますし、そういったことをいろいろなカテゴリーでやっていくことで、岡山にサッカー文化が根付いていくのかなと思います」
梁監督はサッカーの世界に生きてきた人だ。きっともう勝負の懸かった日常に身を置かずにはいられないのだろう。プレミアで指揮を執ることの楽しさについては、こう表現してくれている。「いろいろな特徴を持つチームがあるので、ちょっとでも隙があるとやられますよね。『これでやられるか』というシーンは凄くあるので、トレーニングもメチャクチャ集中力が高くなりますし、ゲームになると一瞬も油断できないシーンはメチャクチャ多いので、もうヒリヒリするというか、僕も見ていてドキドキしますよ(笑)」
そう言って浮かべた笑顔は、まるでサッカー少年のそれ。念願のプレミアリーグ初参戦。歴史を知る指揮官に束ねられた岡山U-18の選手たちは、ヒリヒリしながら、ドキドキしながら、ギリギリの勝負ばかりが続く22試合を戦い終えた時にまた、今とはまったく異なる顔を見せているに違いない。
土屋 雅史