積み上げてきた“レンガ”の先にある楽しさ。ファジアーノ岡山・梁圭史監督が感じる「プレミアリーグを戦うこと」の意義 高円宮杯プレミアリーグWEST ファジアーノ岡山U-18×鹿児島城西高校マッチレビュー
失点は一瞬の隙を突かれたものだった。47分。相手のロングスローをいったんは弾き返したものの、クリアを引っ掛けられた流れからクロスを許し、ヘディングでの同点弾を献上。以降は鹿児島城西のセットプレーを中心にした攻撃が増え、ホームチームは耐える時間が長くなっていく。
「昨日もセットプレーの練習から、『流れが切れた時はアラートに』という状態は全員で雰囲気も作って保っていたのに、そういったところで後半の一発目にやられてしまったので、そこの集中力はまだまだ足りないところですけど、そのあとも連続失点しなかったのは良かったなと思います」(藤田)。ファイナルスコアは1-1。勝てなかったが、負けなかった。苦しいゲームの中から、岡山U-18は勝ち点1を引き寄せた。
「プレミアリーグでは『この隙でやられた!』という方が多いかなと。『89分30秒集中していても、この一瞬でやられるんだ』というイメージです。だからこそ、その中で出てきた逞しさや、1つの試合に懸ける思いは一戦ごとに増していっているなと思っています」と語った梁監督は、プレミアリーグで戦うことが選手たちの成長に与える影響とともに、チームとして今まで積み上げてきたものの効果をひしひしと実感しているという。
「去年の1年でも選手たちはメチャクチャ成長したんですけど、この1月から5月までの5か月でも凄く成長していっているなと思っています。ただ、それは先人の人たちから続く積み上げが、ちょっとずつではあるけれど、形になってきているのかなと。だから、今の選手たちもメチャクチャ頑張っているんですけど、『その成長は自分たちだけのおかげじゃないよ』ということは伝えていますね。僕は一番上にあるレンガを積もうとしているだけなので、今までちょっとずつ積み上げてきたものが、目の前にあるのかなと思います」
まだ中国リーグを戦っていたチームへ2005年に選手として加入し、指導者への転身後はU-18の初代監督も務めてきた梁監督は、今年で在籍20年目。「もう何年目かは数えないようにしていますけどね」と笑ったこの人こそ、ファジアーノ岡山というクラブの『一番下にあるレンガ』を積み上げてきた1人でもある。