『光る君へ』に新登場・泉里香さん演じる和泉式部。有名な<恋の歌>の相手はなんと…紫式部も公任も高評価!「ことのはの魔術師」の知られざる横顔
大石静さんが脚本を手掛け、『源氏物語』の作者・紫式部(演:吉高由里子さん)の生涯を描くNHK大河ドラマ『光る君へ』(総合、日曜午後8時ほか)。ドラマの放映をきっかけとして、平安時代にあらためて注目が集まっています。そこで今回「和泉式部」について、『謎の平安前期』の著者で日本史学者の榎村寛之さんに解説をしてもらいました。 『光る君へ』二人の妻・倫子と明子の着物はまさかオソロ!?静かすぎる激突に視聴者「逆に怖すぎ」「道長、絶対に目を開けてはいけない…」「病状がますます悪化」 * * * * * * * ◆「光る君へ」に登場する和泉式部とは 平安時代の宮廷女房といえば、紫式部、清少納言、それに続いて知られているのは、「和泉式部」ではないでしょうか。 『光る君へ』では、俳優の泉里香さんが和泉式部役を務めることが先日になって発表され、話題になっていました。公式サイトによると、「あかね」という名前で8月4日放送予定の30回から出演されるそう。今からとても楽しみです。 しかしその和泉式部、名前と和歌以外はほとんど知られていませんよね。その彼女を有名にしているのはひたすら“恋の和歌”です。 多くの方が最初に知る彼女の和歌は、『百人一首』の ーーーー あらざらむこの世のほかの思ひ出に今ひとたびの逢ふこともがな (私はこの世からいなくなります。だからあちらの世界に持っていく思い出に、もう一度あなたにお逢いしたいの) ーーーー ではないでしょうか。 不肖著者も、中学の時にこの歌に接して思いました。「重いな…」と。そして、古典の模擬試験で、『和泉式部日記』には手も足も出ませんでした。
◆「ことのはの魔術師」 それから十年余、平安時代史の研究の中で、著者は劇的な二首の歌に出会いました。 ーーーー 物おもへば沢の蛍も我が身よりあくがれいづる魂かとぞみる (こんなに恋しいと、沢の蛍も私の体から離れてあの人の所に飛んでいく魂に思えるの) ーーーー この「あくがれいづる」という言葉が特にツボに来ました。 ーーーー 暗きより暗き道にぞ入りぬべきはるかに照らせ山の端の月 (暗い人生を更に暗いものにしていきそうな私です。月よ遠くから見守っていてください) ーーーー こちらの歌は煩悩(暗き道)からの解脱(山の端の月は仏の教えのこと)を願って詠まれたものですが、人生を一幅の絵のように語る言葉がとても美しいのです。 もちろんどちらも和泉式部の歌です。まさに「ことのはの魔術師」! 和泉式部は、越前守大江雅致の娘とされます。父が元式部丞だったので「式部」と呼ばれた(これは紫式部と同じ)ようです。 大江氏といえば学者系の五位クラスの貴族で、赤染衛門の夫の大江匡衡も同族です。 しかし和泉式部がようやく『光る君へ』に登場するのに対して、赤染衛門(凰稀かなめさん)は早くから出ていました。なおこの二人、もともとは別の派閥だったのです。
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