「会社の飲み会に行きたくない」人が増えている…「飲み会」と「出世」の意外な関係が明かされた
チーム形成の一環として、一部企業では根強く残る
そこでここからは就活や人事に詳しい、株式会社人材研究所代表の曽和利光氏の見解を伺っていこう(以下、「」内は曽和氏のコメント)。 まずは昨今の飲みニケーション事情について教えていただこう。 「あからさまな飲みニケーションが慢性化している企業はさすがに一握りになってきているかと思われますが、総合商社の大手や体育会系気質な一部の企業では、まだまだ行われているところも多いでしょう。 そもそも飲み会は、会社というフォーマルな空間から外れたインフォーマルな空間となっており、『無礼講』という言葉に代表されるように堅苦しくない会話ができる場でした。仕事以外で話すことのない相手に他愛ない身の上話をすることができる空間だからこそ、上司に取り入ったり、部下からの信頼を得たりする場として適したイベントだったのです。 そのため、現在でもチームの連携に重点を置く、もしくは一部の人間の権限が強い職場では、飲みニケーションすることで仲間意識の形成を図る、もしくは評価を上げようとすることは容易に考えられます」
日本で飲みニケーションが加速したワケ
また日本でよくみられるマネジメント手法も飲みニケーションを加速させた要因なんだとか。 「日本では同期コミュニケーション(対面、リアルタイムでのコミュニケーション)が盛んだったことも理由です。日本は伝統的に“見て、覚える”的なマネジメントが主流。マニュアルなどは作成せず、暗黙知を積み重ね、その経験をもとに業務の遂行やアイデア出しをする風土が根強かった。このようなジャパニーズトライディショナルなマネジメントからも飲み会のような場所は、同期コミュニケーションにはうってつけだったわけです。 現在は、コロナ禍によりリモートワークが流行し、非同期コミュニケーション(異なる空間、時間でのコミュニケーション)が増え、具体的なマニュアルやフローを作成する傾向になってきました。ですが、同じ空間内で暗黙知が共有されないと新しいイノベーションが生まれてこないと考える企業は現在でも珍しくなく、結果として出社体制に戻す企業も増えてきています。 ご時世的に企業としては大々的に推奨はしていないでしょうが、出社体制に戻した結果、飲みニケーションがまた増えた職場は、数こそ少なかれポツポツと出ているかもしれませんね」
自由の国・アメリカでも……
ちなみに飲みニケーションは、日本特有の現象ではなく、アメリカの一部でも見られるそうだ。 「アメリカの企業では、人事部が固定されておらず、人事権を部署ごとに分ける傾向にあるため、上司のさじ加減によって採用や昇進が左右されやすい。そのため休日に上司が主催するBBQに参加するなどして存在感をアピールしなければ、昇進は見込めないというエピソードは有名ですし、高収入の労働者層のなかにはいまでも飲みニケーション的な文化は残っていると思います」 記事後編は「もはや「会社の飲み会」は無意味になってしまった…バブル期から一転、その「納得の理由」」から。
A4studio(編集プロダクション)