「肉体美とゴミ拾い」久保建英の進化はスーパーゴール、ドリブルだけでなく…「(大災害に)心苦しいです」カメラマンが見た日本代表FWの人間味
“えぐるドリブル”がターニングポイントに
さらに25分に久保が見せた“えぐるドリブル”が、この試合のターニングポイントにもなった。 試合全体を振り返る。序盤は主導権の握り合いが行われ、大きな展開なくゲームは進んでいた。その中で25分の久保のプレーは鋭く、対応したスタニス・イドゥンボは負傷後退を余儀なくされ、セビージャへ文字通りのダメージを与えた。そんなゴールへ向かう久保の姿勢が、チームの攻勢を強めるきっかけとなり、34分の先制点につながる。 ゴールセレブレーションを終えた久保に指揮官イマノルは「マス、マス(スペイン語でもっともっと、の意)」と、どんどん攻撃を仕掛けていけと指示を送っている。 勢いに乗るチームは、終了間際にも久保を起点に得点チャンスを作り出した。久保は右サイドでパスを受けると、カットインを警戒する相手を嘲笑うかのように、左アウトサイドでクロスを送り込む。ミケル・オヤルサバルのシュートは、惜しくも枠を捉えきれなかったが、大きな得点チャンスだった。 さらにセルヒオ・ゴメスとのパス交換を繰り広げ、最終的にルカ・スシッチのミドルシュートをお膳立てしている。
ユニをプレゼント、ゴミを拾い、災害に心を痛めて
後半はビハインドのホームチームが勢いを取り戻したが、68分に得たPKをオヤルサバルがしっかりと決め、追加点を奪った。久保は、相手との接触により強く痛みを見せるシーンもあったが、無事プレーを続け、80分にお役御免でピッチを退いた。チームはしっかりリードを守りきり、2-0の勝利を手にした。 バックスタンド側からピッチを出た久保は、ファンへユニフォームをプレゼント。均整の取れた上半身裸のまま、ピッチ上に落ちているゴミを拾いつつベンチへ戻る際には、熱狂的なゴール裏の子供サポーターからも声がかかっているようだった。 ゴールだけでなく、チームの攻撃を牽引した久保は、この試合のMVPに選ばれており、試合後のフラッシュインタビューに対応した。 そこでは試合のプレーだけでなく、死者が200名を超える大災害となったバレンシア州を中心に襲った豪雨と、それによる洪水被害についてもコメントを残していた。 「個人的には(マジョルカ時代の監督)ビセンテ・モレノのことをとても心配しています。僕がこの舞台にいるための全てを与えてくれました」と、故郷が被災した恩師を慮った。 また「バレンシアで苦しんでいる方々のことを思うと心苦しいです。(試合前に両チームにより)黙祷を捧げましたが、やはりこのような試合は難しいです。両チームともに難しい中でのゲームでしたが、できる限りの最善を尽くしました」とも答えていた。
日本代表招集、ELとバルサ戦でも結果を残せるか
暫定ながら10位まで順位を押し戻したソシエダは、週中にELプルゼニ戦を迎える。そして週末には、好調を維持して首位のバルサとの対戦が待っている。そして久保は7日に発表された日本代表11月シリーズ、アウェイでのインドネシア戦と中国戦のメンバーに選出された。 指揮官イマノルは特に前線の選手について、ローテーション起用を取る。前述したような変化を見せつつ、好調をキープする久保をどのように起用するかにチームの勝敗は大きく左右されそうだ。
(「サッカー日本代表PRESS」中島大介 = 文)
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