フェラーリが実用的でなにが悪い!!! 購入したからこそわかるスーパーカーが快適でも良いワケ(連載:33歳、フェラーリを買う)
29歳で人生初のフェラーリを購入した『GQ JAPAN』の編集部員のイナガキが、ひょんなことからまたフェラーリを購入した! はたして、2回目の“跳ね馬ライフ”はいかに? 【写真を見る】愛車の詳細(34枚)ここがスゴイよカリフォルニア!!!
後席に大人は座れない!?
わがカリフォルニアで1番驚いたのは実用性の高さだ。前回の360モデナは、ミッドシップレイアウトのふたり乗り。荷物があまり積めない上、最低地上高も低く、ちょっとした買い物で使うにもビクビクしながら乗っていた。 しかし、カリフォルニアは後輪駆動レイアウトの4人乗りで、思いのほか“フツー”に乗れてしまう。2009年のデビュー当初から“実用的なフェラーリ”として知られていることなので、今さらかもしれないが、実際に所有すると、評判が本当であるのを実感した。 たとえるならGTカーのごとく使える。メルセデス・ベンツ「SL」やBMW「8シリーズ」、マセラティ「グランツーリスモ」などのように乗りこなせる。 たとたとえば最低地上高。それほど段差に気を遣う必要がないのが嬉しい。オプションでフロントリフターを設定していないことから、フェラーリ社もそれなりの高さを認識しているのだろう。ただし、ナンバープレートの取り付け位置が低いため、気を抜くとナンバー下部を擦ってしまい、折れ曲がる可能性があるので要注意。こればっかりは横長の海外製ライセンスプレートをもとにデザインされただけに、致し方ない。 そしてリヤシートがあるのも嬉しい。カバンや買い物袋といった荷物を置くのにちょうど良い。もちろん、いざというときは人も乗せられるが、説明書を読むと以下の通り注意書きが……。 「警告:後席には、身長150cm未満の乗員のみ着座することができます。正しく着座した後席の乗員の頭部とリヤウインドウの間に、少なくとも2.5cmの距離が必要です。この身長を超える乗員を後席に乗車させると、事故が発生した場合に重大な負傷を負う危険性があります。」 つまり身長150cm以上の人を乗せてはいけないのだ。ネットを検索すると過去に後席に身長150cm以上の大人が座ったと思われるインプレッション記事があったものの、これは非常に危険な行為である。というわけでリヤシートは荷物置きでしか使っていない。それでも、あるとないとでは実用性が異なる。 ラゲッジルーム容量に目を向けたい。通常時で360リッターもあるから、大型のスーツケースも容易に積める。かつての360モデナでは不可能だった。しかも、トランクスルー機構付きだからゴルフバッグやスキーといった長尺物も積めてしまう。360モデナもリヤシート背後に積めなくもなったが、JBLのオーディオシステム組んだため、それは叶わなかった。ちなみにトランクリッドは、オートクロージャー機能付きだから、軽い力でも最後まで確実に閉まるのは便利だ。 インテリアでは、「運転席イージーエントリー/エグジット(2+2仕様、フル電動オプション)」が嬉しい。降車時にステアリングコラムが自動で跳ね上がり、乗車時に元へ戻ることで乗降性を高める。しかも、跳ね上がりの量(幅)は任意で調整できるのもありがたい。 インフォテインメント機能は前時代ゆえに、最新モデルと比べれば劣るものの、Bluetoothを介したハンズフリー通話機能が搭載されているのは便利だ。着信時は、ステアリング裏に備わるスイッチを押せば通話OK。マイクの性能も良く、オープン時に80km/h程度で走りながらのハンズフリー通話も問題なくこなせる。通話相手いわく「ちゃんと聞こえますよ」とのこと。360モデナは後付けのマイクだったから、こうはいかなかった。純正品の進化を感じる。 後付けのバックカメラがあるとないでは大違い。最新のフェラーリと違い、ガイド線はないし俯瞰機能もないけれど、よく見えない真後ろが“なんとなく”でもわかるのは駐車時に助かる。バックソナーと併用すればなにかにぶつけるリスクは大幅に減る。バックカメラもソナーもなかった360モデナは、後方視界も悪かったため駐車は至難の業だった。自宅駐車場で10回ほど前後&切り返しをおこないやっとの思いで駐車していたのが、今では2~3回でOK。うまくいけば一発で駐車できるときもある。 運転席と助手席で異なる温度を設定出来るオートエアコンやオートライトシステム、自動防眩ルームミラーなども実用性を高める。イマドキ、多くのクルマに備わる機能だけに、これといった新鮮さはないけれども、360モデナと較べれば大きな進化である。 カリフォルニアは“実用的なフェラーリ”だ。 「こんなのフェラーリじゃない」「フェラーリがヤワになってどうする!?」などの指摘も耳にする。しかし、乗ればやっぱりフェラーリなのだ。音も匂いもなにもかも、ぼくは乗る度にその魅力を噛みしめている。 初めてのフェラーリ購入を考えているのであれば、カリフォルニアやカリフォルニアT、ポルトフィーノといった2プラス2のオープンモデルをすすめたい。そしてマニアをはじめ、世間の評判はどうか気にしないで欲しい。十分にフェラーリらしさを体感できるのだから。
文と編集・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.)
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