横浜流星&THE RAMPAGE岩谷翔吾の高校同級生コンビ、日々ぶち当たる「選択」の後悔しない基準とは
岩谷翔吾「それでも流星に伝えたかった」
――『選択』に続く、2人の新たなコラボレーションの可能性について質問すると、「やりたい題材はあります」と言う横浜に、岩谷が「本当に? 何?」と目を輝かせる。 横浜 特攻隊。今、(大河ドラマの撮影で)江戸時代を生きているから、昔の人々についていろいろ調べていて。彼らがいたから今の日本があるし、自分らが生きられているんだなと思いました。 一人一人にいろいろなドラマがあると思うので、彼らの“魂”をちゃんと作品に生かしてあげられたらな、と。まだ全然整理できていませんが。 ――大河ドラマという大仕事に真剣に取り組むなかで新たな知識を得て、それが次のクリエイティヴの種となる。仕事に対するこの前のめりなスタンスを、横浜の「仕事が人生みたいなもの」という言葉が端的に表現する。 横浜 休みの日も仕事のことばかり考えています。この仕事は、日常がすべて生かされる。芝居にも、ものづくりにも。 この世界に入ると決めたときは、まさかこんなことになるとは思っていなかったです(笑)。 岩谷 わかるなー。やりがいじゃないけど、仕事がなかったらやることがなくて暇になりそう。 横浜 暇になるし、この仕事がなかったら社会に適応できてないと思います。じゃない? 岩谷 たしかに(笑)。 ――自分と社会をつなぐものが仕事であり、仕事をとおして社会に参加し、貢献する。非常に健全かつ有意義なスタンスで仕事に熱中している2人だが、実は本作は、より原始的かつ純粋な原動力によってカタチになった。 岩谷 この作品を読者に伝えたい、世の中に発信したいという想いはもちろんありますが、流星の背中を押したいという想いも強くありました。 上り詰めれば詰めるほど孤独が降り注ぐ芸能という世界で、僕も流星もプレッシャーと生きづらさを抱えながら生きています。 2人ともポジティブではないけれど、作品だったら明るい未来を描けるので、ある人物の「生きてさえいればやり直せる」という台詞に希望を込めました。そこはこの作品の流れのなかでちょっと浮いているんですけど、それでも流星に伝えたかったんです。 横浜 翔吾のその想いはもちろん届いています。ありがたいです。 『選択』は、自分が役者として生きたい世界でもあるし、自分がもしも亮みたいな状況下にいたとしら、亮と同じ選択をしていたと思う。僕らの経験から生み出しているから当たり前とはいえ、他人事とは思えないというか、自分ごととして考えられる作品になりました。自分の想いをすべて翔吾が小説という形にしてくれたことが嬉しいですし、幸せです。 ――各々の仕事に邁進しつつ、並走するような距離感でいい影響を与え合えるのは同級生であり、これまで紡いできた友情があるからこそ。 これから彼らが何を選択をし、どのような道を切り拓くのか楽しみだ。 ※ウィリアム・シェイクスピアの言葉として広まっているが、出典等詳細は不明。 横浜流星/Ryusei Yokohama 1996年9月16日神奈川県生まれ。2011年俳優デビュー。2023年、主演舞台『巌流島』を上演、主演映画『ヴィレッジ』『春に散る』が公開。2024年11月に主演映画『正体』が公開に。2025年は映画『国宝』が公開予定、NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~』で主演を務める。 岩谷翔吾/Shogo Iwaya 1997年3月11日大阪府生まれ。2017年にTHE RAMPAGEのパフォーマーとして1stシングル「Lightning」でメジャーデビュー。読書家として知られ、『青春と読書』などで書評を連載。コロナ禍に自分の人生を基にした小説執筆へのチャレンジを経て、『選択』で小説家デビューを果たす。
TEXT=須永貴子 PHOTOGRAPH=鈴木規仁