闇バイトに応募すると、どんな犯罪につながる? 統計と手口を元警察官僚の弁護士が徹底解説
●3位「詐欺罪」 4位「窃盗罪」
オレオレ詐欺や振り込め詐欺などの典型的な特殊詐欺の場合、詐欺罪が成立し、10年以下の懲役です(刑法246条)。 特殊詐欺の場合、かけ子や受け子などの役割分担がありますが、闇バイトでやらされるのは受け子や出し子が多いです。 受け子の場合、被害者宅に向かう途中で警察官から職務質問を受けて身柄を確保されたというケースでも詐欺未遂罪が成立することに注意する必要があります。 まだ被害者宅に到着もしていないからセーフと思ったら大間違いです。既に仲間のかけ子がうその電話をかけていることからこの時点でも詐欺未遂罪の共同正犯が成立しています。 受け子が指示役からはっきりと詐欺とは聞かされていなかった場合であっても、客観的状況から詐欺かもしれないと認識し得れば詐欺罪の故意を認めることができますので、知らなかったというのは言い訳にはなりません(最高裁平成30年12月11日判決)。 また、出し子の場合、被害品のキャッシュカードを使用して銀行ATMから現金を引き出すと銀行に対する窃盗罪が成立することにも注意が必要です。 キャッシュカードを用いて銀行の占有下にある現金を取得している点で、もともとの被害者に対する犯罪とは別に新たに銀行に対する窃盗罪が成立します。 4位の窃盗罪は、スリやひったくりなどの古典的手口によるものより、オレオレ詐欺や振り込め詐欺などの典型的な特殊詐欺の亜種に分類されるものを念頭におくべきでしょう。 具体的には、うその電話をかけて被害者にキャッシュカードを用意させておき、受け子が被害者宅を訪問した際に事前に用意したトランプなどのカードが入った封筒とすり替えて盗むというやり方です。 この場合、うそを言って騙しているのですが、キャッシュカードを交付させるのではなく隙を見てすり替えて盗んでくるので、詐欺罪ではなく窃盗罪が成立します。いわゆる「詐欺盗」という手口です。 窃盗罪の場合も、受け子が被害者宅に向かう途中で警察官から職務質問を受けて身柄を確保されたケースでは窃盗未遂罪が成立することに注意する必要があります。 既にかけ子がうその電話をかけていることから、受け子が被害者宅に向かう途中で既にキャッシュカードが盗まれる危険性が生じているとして窃盗未遂罪を認めるのが最近の最高裁の判断です(最高裁令和4年2月14日判決)。