BRAHMAN・RONZI「音楽のことをラーメンって呼べばいいんじゃないかな?」
◇美味しくないラーメンも好きです(笑) ――なんとなくですが、ラーメンが好きな人って、美味しいラーメン屋をたくさん知っていることにステータスを感じていると思うのですが、RONZIさんはちょっと違いますよね? RONZI:確かにそうかもしれません。笹塚に名前も出したくもないようなお店があるんです。なんかね、美味しくないお店があるんですよ。食べて“うわ、美味しくないな”って思うんですけど、僕は、美味しくないラーメンも好きで(笑)。美味しくないなと思いながら食ったりもするんです。 ――え、それってどういう感情なんでしょう? RONZI:自分でもよくわからないんですけど(笑)。 ――臭い匂いが嗅ぎたくなるというか……? RONZI:うーん……。たしかに、笹塚のラーメンは臭いですね。僕、大阪とかに行ったりすると、今でこそ美味しいラーメン屋さんがいっぱいありますけど、昔は『どうとんぼり神座』か『金龍ラーメン』の2択だったと思うんです。 僕は、金龍って正直あまり美味しいとは思わないんですけど、めっちゃ好きで(笑)。食べて、“今回もあまり美味しくないな……”って思いながら食べている。一応、金龍は豚骨って言われているんですけど、あんまり味がしない。ただそれが食べたくて、大阪で味がしない薄い豚骨を探したりします。 ――RONZIさんのように美味しいお店もクセのあるお店も楽しむって、めちゃくちゃラーメン愛を感じます。 RONZI:自分の好みではないものでも好き、というのがあるんですよね。ただ、最近思うのは、他のラーメン屋さんのレベルが上がっているから、僕が昔食べていたラーメン、例えば、中野の『青葉』とかは、今でこそスタンダードになってきているけど、僕の中には最初に食べたときの衝撃や美味しいと思っていた記憶が残っているわけです。 だからこそ、スタンダードになった今でも美味しくいただける。僕は過去を振り返ることは大事だと思っているんです。きっと今の皆さんはすごいラーメンをたくさん食べているから、ラーメンに対して不感症になっているのかもしれないですね。 ――コレクターだからこその嗅覚というか。ツアー中もライブハウスの近辺だけでなく、遠方まで足を伸ばしたり? RONZI:そうですね。ただ、全員を連れて行くのは悪いなと思うんです。当然ですけど「またラーメン?」って言うメンバーもいるので(笑)、なるべく自分一人で済ませるようにしていて、機材車を借りていろんなところに食べに行ったりしますね。特に地方だと、なかなか行くことができないので、午前中で3杯くらい食べ終わっていることもあります(笑)。 ――すごい! やはり、RONZIさんのお話を聞いていると、自分はラーメン好きとは言えないなと思ってしまいます。 RONZI:いやいや、僕もサニーデイ・サービスの田中貴に比べたら、全然ですよ! ――あはは(笑)。それだけたくさんのラーメンを食べていると、変わり種のラーメンに出合うことも多いのでは? RONZI:もちろん、たくさんあるけど、最近、西伊豆の土肥ってわかりますか? そこに『河津屋』というお店があって。「葱油湯麺(キョーソーメン)」というのがあったんですけど、それが面白かった。(ネギラーメン)と記載されていて、ネギとチャーシューを絡めた餡が素ラーメンにポチョンと乗っているんですよ。 それがまた、よくわからない味がするんです! 胡椒がめっちゃ効いていて、とろみがかかっていて、餡を溶かしながら食べていくと知らない味がするんですよ! 素ラーメンは、いわゆる中華屋にあるシンプルなもの。特徴がなく麺は伸び伸びに茹でてあるから、硬めが好きな人は絶対イヤだなという感じのものだけど(笑)。