最新の「世界経済見通し」発表

　昨年上半期までの世界経済の最大の苦悩は「物価高」だった。コロナ禍での浮揚策、サプライチェーン・ショックなどで高騰した物価を抑えるために米国など各国が政策金利を急激に引き上げたため、「景気のハードランディング」が非常に懸念されていた。 　このような悲観的な見通しは、楽観的なものへと変化してきている。景気低迷がなくても物価上昇が鈍化していることで、軟着陸（ソフトランディング）への期待が高まっているのだ。国際通貨基金（IMF）は30日（現地時間）に発表した最新の「世界経済見通し」で、「今年の世界の経済成長率は昨年10月の値より0.2ポイント上昇の3.1％と予想される」と述べた。IMFは2022年には3.5％だった世界の成長率について、昨年と今年は3.1％にとどまり、来年は3.2％へと小幅に上昇するとの見通しを示した。 　今年の見通しを上方修正したのは、予想より早く物価上昇が鈍化しているからだ。IMFは「ディスインフレーション（物価上昇率の鈍化）と着実な成長で景気のハードランディングの可能性が低下し、グローバルな成長に対するリスクも安定した」と指摘した。 　特に米国と中国の今年の成長率見通しは大幅に引き上げられ、主要2カ国（G2）である米中の景気が世界経済のソフトランディングを後押しすると予想した。米国の今年の成長率見通しは昨年10月に比べて0.6ポイント高い2.1％、中国は0.4ポイント高い4.6％。不動産発の景気の急激な冷え込みを抑え込むための中国当局による財政浮揚策と共に、米国の財政緩和政策が景気回復に寄与していると評価した。今年の米国の成長率を2％台としたのは、主な国際機関の中でIMFが初めて。経済協力開発機構（OECD）は1.5％（昨年11月）、世界銀行は1.6％（今月初め）との見通しを示している。 　IMFは韓国の今年の成長率見通しも2.3％とし、昨年10月の見通しから0.1ポイント引き上げた。昨年1.4％にとどまった韓国の経済成長率は、今年と来年ともに潜在成長率（2％前後）を小幅に上回る2.3％を達成するだろうとの見方だ。企画財政部の関係者は「韓国の主な貿易相手国である米国と中国を中心に、世界経済見通しがこれまでのものより改善されたことで、貿易の比重が高い韓国も肯定的な影響を受けるだろうということ」と話した。 　一方、IMFはユーロ圏の今年の成長率は前回の見通しより0.3ポイント低い0.9％、日本も0.1ポイント低い0.9％にとどまるとの見通しを示した。欧州地域の景気回復の勢いが弱く、日本も円安や当初の事業計画の後ずれを受けた企業投資の回復といった一時的な効果が減退するとの見方が反映されたもの。 　しかし、米中発の景気のソフトランディングが世界経済の「低成長からの脱出」を意味するわけではない。IMFは「今年と来年の世界成長率見通しは2000～2019年の年平均成長率（3.8％）より低い」と指摘した。また、世界の物価上昇率は昨年の6.8％から今年は5.8％、来年は4.4％へとゆっくりと鈍化し、物価安定目標制を実施中の各国（韓国は2.0％）では、物価上昇率が今年第4四半期までは安定目標より0.6ポイント（平均）高いと予想された。IMFは「米国、欧州、英国の政策金利は今年下半期まで現在の水準が維持され、その後は徐々に下落するだろう」との見通しを示した。 パク・チョンオ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )