資金流入が続く「米投資適格社債市場」の“好環境”【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】
【今後の展開】高い利回り水準と利下げ観測で投資適格社債への資金流入が続く
■足元の投資適格社債の利回り5.5%は、過去20年の平均4.1%を大きく上回っています。ヒストリカルにみて社債の利回り水準が高く、米国経済が底堅く推移する環境下では、投資家が高い利回りで収益を狙える社債を選好する動きが続きそうです。 ■米株式市場(S&P500種株価指数)の益利回りと投資適格債社債の利回りの差を比較したバリュエーションをみると、同社債は過去20年で最も割安水準となっています。このため投資家が今後社債投資を拡大する可能性も考えられます。 ■実際に投資マネーが米国の投資適格債社債市場に流入しています。米調査会社EPFRによると、23年以降、米投資適格社債ファンドへの資金流入が拡大し、足元(5月22日)までの累積で338億ドル(約5.2兆円)が流入しました。特に市場でFRBの利下げ観測が強まった23年11月から24年2月にかけては資金流入の勢いが加速しました。 ■弊社は、FRBが24年9月に利下げを開始し、その後四半期に一度のペースで政策金利を0.25%ずつ引き下げると想定しています。これに伴い米長期金利は緩やかに低下すると予想しています。また、米国景気のソフトランディングを見込んでいるため、企業の財務と業績が悪化せず、社債スプレッドは安定的に推移するとみています。 ■FRBが利下げに転じる局面では、投資家のリスク選好姿勢が強まり、社債への資金流入が続くとみられます。このため、米投資適格社債市場は堅調に推移するとみています。 (2024年5月31日) 石井 康之 三井住友DSアセットマネジメント株式会社 チーフリサーチストラテジスト ※上記の見通しは当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。今後、予告なく変更する場合があります。 ※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『資金流入が続く「米投資適格社債市場」の“好環境”【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】』を参照)。
石井 康之,三井住友DSアセットマネジメント株式会社
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