2024年 どうなる住宅ローン金利 マイナス金利解除で変動金利も上昇?
■2024年 住宅ローン金利の展望を聞く
果たして、2024年の住宅ローンはどうなっていくのか。 上昇傾向だった固定金利について住宅ローン比較サービス「モゲチェック」を運営するMFSの塩澤崇取締役COOは「固定金利はやや下がり傾向に変化する可能性もある」と分析しています。日銀の金融政策の修正によって上昇傾向だった日本の長期金利がアメリカの利下げ観測によって落ち着いてきたためとしています。 2023年12月、アメリカの中央銀行にあたるFRB(=連邦準備制度理事会)が、2024年には利下げの回数は少なくとも3回あるとの予測を示したことなどを受け、これまで急速に上がり続けてきたアメリカの長期金利が低下傾向になっています。日本の長期金利もアメリカの長期金利に連動しやすくなっていることから、住宅ローンの固定金利も下がる可能性があるとみています。 一方、変動金利についても2024年、変化が起こるのでは、との見方が出ています。鍵を握るのが日銀の決める短期金利です。短期金利については、日銀が長く続けてきた大規模な金融緩和策の一環として、マイナス金利政策を続けてきましたが、これを2024年にも解除するのではとの見方が広がっているためです。 ただ、MFSの塩澤氏は住宅ローンの変動金利の動向について、「日銀のマイナス金利の解除だけでは、そのタイミングで銀行側が変動金利を上げるかどうか不透明。銀行間で競争環境が激化しているのですぐには上がらない可能性もある」とみています。
一方でニッセイ基礎研究所の福本勇樹金融調査室長は「変動金利は、日銀の政策金利、すなわち短期金利と連動するので、日銀がマイナス金利を解除すれば新規で借り入れる人にとっては、従来より少し金利が上がる可能性がある。その後、日銀が利上げに向かっていけば、変動金利も上昇する可能性が大きい」としています。 このように住宅ローン金利の動向は、日銀の金融政策の行方と深い関係があり、日銀がマイナス金利の解除に踏み切るとなると、本格的な転換を意味します。 2023年の首都圏新築マンションの平均価格は、年間で過去最高値となることが確実視されています。不動産価格が高騰する中でも変動型で高額のローンを組む動きも広がっており、家計にとってはリスク要因となる可能性もあります。住宅の購入を検討している人にとっては、日銀の金融政策の行方から目が離せない状況になりそうです。