まちの歴史や課題、模型作りから学ぶ 函館工業高生が函館西部地区歩き製作
函館工業高校建築科3年生5人は、二本柳慶一建築研究所(杉並町)の協力を受け、函館西部地区の街並みを600分の1のスケールで再現する模型の製作に取り組んだ。今年度で5年目となる課題研究授業の一環で、製作にあたっては現地調査を行い、まちの課題や活性化に向けたアイデアも提案した。
2020年度から、次世代を担う建築技術者の育成や函館への愛郷心につなげようと実施。毎年3年生が函館駅前周辺から函館山方向に南下する形で各エリアを担当し、22年度までで元町、末広町、23年度で大町、弁天町付近を完成。今年度は残る青柳町、宝来町、住吉町付近の製作を進めた。 授業は4月にスタート。実際に現地を歩き、交差点ごとに写真を撮り、空き地や解体現場などを把握。調査を基に地図に区画を貼り付け、建築用の断熱材で建物を表し、青柳町の函館公園なども緻密に再現した。 今月13日に同社であった発表会で成果を披露し、現地調査での気づきから空き家や空き地が多く、高齢化が進行していると課題を挙げた。解決策として、西部地区の古建築に特徴的な和洋折衷様式を生かし、空き家を活用した住宅モデルハウスを提案。宿泊や起業体験ができるほか、学生の勉強スペースや地域住民の集いの場とするなど幅広い層を西部地区に呼び込み、地域活性化、空き家の解消につなげることを提言した。アイデアは7月にあった市主催の「函館西部まちぐらし共創サロン」で生徒が発表し、地域住民と共有。実現に向けて意見を交わした。 鹿部町から通う今村あさひさん(18)は「現地を歩いた際、地域の人はみんなフレンドリーに接してくれた。西部地区は歴史を感じられる地域で愛着を感じ、また帰ってきたいまちになった」と振り返った。 生徒が製作した模型は2月に同校建築科の卒業制作と共に函館コミュニティプラザ(Gスクエア、シエスタハコダテ内)に展示予定。
函館新聞デジタル