[特集/最強ボランチは誰だ 01]良い守備的MFが、良い結果を残す 強豪クラブに欠かせないボランチたち
無敗を引っ張るジャカ チャルハノールは新境地開拓
ブンデスリーガでは監督就任2年目のシャビ・アロンソに率いられたレヴァークーゼンが、無敗優勝に向けて快進撃を続けている。試合中に変動する[3-4-2-1]で戦うなか、ボランチを務めて献身的なプレイを見せているのがグラニト・ジャカだ。 ジャカは闘える選手、ファイターであり、常に持てる力を発揮するタイプである。アロンソ監督はどのポジションの選手も強度高くプレイすることを求めており、このスタイルにジャカはマッチしている。 ボランチは2枚でジャカとロベルト・アンドリヒというのがファーストチョイスで、この2人はどちらも汚れ役ができる。お互いの考えも共有されていて、絶妙な距離感でプレイするとともにお互いを信頼してプレイしている。守備能力が高いハードワークできる両名を中心に、レヴァークーゼンは28試合を終えて19失点と圧倒的な守備の固さを誇っている。 レヴァークーゼンはジャカがメンタル面で精神的支柱、プレイ面で心臓になることで、アンドリヒは攻撃面での良さを引き出され、高いポジションを取ることができている。同様に、ジェレミー・フリンポン、アレックス・グリマルドといった両サイドの選手。ヨナス・ホフマン、フロリアン・ヴィルツといった攻撃的MFたちも躊躇なく攻撃を仕掛けることができている。とくに、両サイドのフリンポン、グリマルドはゴールを狙う姿勢が高く、ここまで2人で17得点をあげている。 ここからレヴァークーゼンが失速することは考えにくい。2位バイエルンとの差はそろそろ勝点20近くにまで開こうとしていて、ジャカがマイスターシャーレを掲げる日は近そうだ(※編注:その後レヴァークーゼンは優勝決定)。 セリエAではインテルのハカン・チャルハノールがシモーネ・インザーギ監督のもと昨年からアンカーを務め、新境地を開拓した。フラットな[3-5-2]の中盤中央に配置され、レジスタとして長短の正確なパスを駆使して攻撃を組み立てている。 運動量が多く、頑張れるタイプの司令塔だったチャルハノールだが、うまさ、スマートさはあるものの現状を打破する“なにか”がないまま、年齢を重ねていた。変化をもたらしたのはS・インザーギで、ひとつポジションを下げてアンカーに起用した。 守備が求められるポジションだが、チャルハノールはしっかりとボールを追えるタイプで、すぐにこのポジションにフィットした。相手のプレスをかわす能力はもともと高く、前を向いてボールを持つ時間が増えたことで非凡なパスセンスが発揮されることとなった。 さらに、後方から攻撃参加することでより的確なポジションに入ることができ、フィニッシュするシーンも増えることに。現在10得点となっているが、二桁得点は2013-14にハンブルガーSVで11得点して以来だ。チャルハノールは30歳を迎えて再覚醒している。 レヴァークーゼンが無敗なら、インテルは31試合を終えてわずか1敗である。こちらも2位ミランを大きく引き離しており、スクデット獲得までそう遠くない。良いボランチがいるチームは、良い結果を残す。この法則は当たっているといえる。 文/飯塚 健司 ※電子マガジンtheWORLD(ザ・ワールド)第292号、4月15日配信の記事より転載
構成/ザ・ワールド編集部