漢方が「がん治療」で大活躍…!? 最先端の科学で明らかになった東洋医学の「驚くべき効能」
科学によって漢方薬の知られざる効用が判明
また、漢方薬はひとつの薬で様々な症状に対して効果があらわれるため、最新の科学的なアプローチによって、漢方薬の知られざる効用が判明する事態となっている。 いま新たな効果が注目されているのが十全大補湯だ。通常は倦怠感や冷え、貧血などの症状改善に使われている。 2021年に北里大学が発表した研究によると、十全大補湯には抗老化作用、アンチエイジング効果があることがマウスの実験で示された。 まず、通常のマウスと老化の速度が速い特別なマウスを用意。体内で新しい細胞が生成されるとき、通常のマウスは元となる遺伝子の情報が正しく読み取られていくのに対し、老化速度の速いマウスは遺伝子の情報を読み取るときにエラーが発生。これが積み重なると、細胞がダメージを受けて老化が早まる。このマウスに十全大補湯を投与すると、読み取りエラーの数が健康なマウスと同じレベルに下がっていたのだ。漢方薬に老化の進行を抑える可能性があることが見えてきたわけだ。 「食欲不振や胃食道逆流症などの改善に処方される六君子湯には、寿命を延ばす効果があるかもしれないと、動物実験でわかってきました。2016年に発表された論文では、人為的に老化を早めるなどしたマウスに六君子湯を与えたところ、生存期間が延長したのです」(山本氏) 最先端科学が追究する長寿医療と漢方は、実は密接にかかわっているのがよくわかる。 この記事は後編記事『更年期障害、疲労回復に効果テキメン…絶対に買うべき「万能漢方薬」とは』に続く。 「週刊現代」2024年6月1日号より
週刊現代(講談社)