町内会の旧態依然の運営スタイルに疲弊する人たち 共働きなのに平日餅つき大会に参加、「回覧板」と「現金での集金」で潰れる休日
なくならない「回覧板」と「現金での集金」
旧態依然の町内会に特有な活動スタイルは“持ち回り”だ。東海地方在住でメーカー勤務の30代女性・Bさんは、結婚を機に戸建てを購入。Bさんの場合、「役職」が持ち回りだった。 Bさんが担当することになったのは、会費の集金、回覧板回し、町内清掃など担当する『組長』。Bさんはすべての「アナログさ」に戸惑ったという。 「資料を作成して回覧板を回し、集金の時は一軒一軒まわるオールドスタイル。名簿も紙でつくっています。今、仕事上では紙の名簿をまったく見なくなっていたのでちょっとびっくりしましたが、70歳、80歳といった方がいることを考えると仕方ないのかなとは思います。 ただ、現金の集金は正直無理筋でしたね。夫婦で働いていると、土日のどこかで訪問するしかないのですが、効率が悪いうえに休日がそんなことで潰れてしまう」
その後、町内会の組織である子供会でも活動することになったBさん。「役員でなくても、イベントは強制的に手伝わされる」という現実を嘆く。 「子供たちのための行事の運営も一苦労です。夏祭りや子供神輿、町内会BBQなどの運営は、共働きで育児中の身にはつらすぎました。娘が熱を出してしまい、イベントに手伝いに行けなかった時は役員から『なんで手伝いに来ないのか』と怒鳴られました。それだけギリギリの人員なんだと思います」(Bさん) 人手不足でもイベントを縮小しない背景には、「昔のまま」を続けたいという自治会長の思いがあるようだが、Bさんは「現実的ではない」と語る。 「自治会長は『今の子供たちに地域のつながりを教えてあげたい』と言いますが、町内会も子供会も人手が足りないのが現状なのに、無理やり同じやり方を続けているといつか破綻するのは目に見えています。正直、町内会や子供会そのものの存在を見直してもいいのでは」(Bさん) 地域に貢献したいという思いを持っていても、負担が大きく気軽に参加できなかったり、あきらめてしまう人は少なくない。昔のままのスタイルを貫く町内会はアップデートできるのか。結局のところ、住人たちの支持がなくなれば存続は難しくなる一方だろう。(了)