DeNA・知野直人内野手 1軍定着で“独立の星”になる…初心に戻った“古巣”BC新潟との対戦
各球団の担当記者が推す選手を紹介する「推しえて」第2回は、DeNA・知野直人内野手(25)。BC新潟から入団したプロ6年目は高い身体能力が売り。昨季は自身最多の39試合に出場。打率こそ1割6分7厘も、9月3日の巨人戦(横浜)では代打逆転満塁本塁打を放ち存在感を示した。今季は春季キャンプ中に左太もも裏の肉離れで離脱も、ファームで実戦復帰し、昇格を目指している。独立リーグ(L)出身者としてのハングリー精神を胸に1軍で輝く。(取材・構成=内藤 菜月) プロ6年目。勝負のシーズン前にしての離脱。それでも知野は前を向いていた。 「今年こそは1軍で1年間やると意気込んでいたので、当初は無理してでもやってやると思っていました」 内野はどこでも守れ、左翼もこなした経験のあるユーティリティー選手。昨季、代打満塁本塁打で存在感を見せつけるだけでなく、代走としても頭角を現した。1軍で戦力になり始め、さらなる飛躍を誓ったばかりでのアクシデント。絶望の中、三浦監督の言葉に救われた。 「監督に『去年、頑張ったおかげで立ち位置が変わってきた。だから開幕前だし、無理して悪化するよりもしっかりと治して100%の状態で戻ってこい』と言われて切り替えられました。『100%出せる時に必要とするから』と言われて、すごくうれしかったです」 初心に戻る機会も得た。今季から出身のBC新潟がイースタン・リーグに参戦。3月26日からの3連戦(26日は雨天中止)は敵地・新潟で開催された。プロの世界と比べて練習時間や環境などが厳しかった独立L時代を思い出した。 「僕らは今回ビジターだったので(ホーム球団の)ボールでプレーするけど、きれいな新品ではなかったりもある。今、すごくいい環境でプレーできていることをもう一度、確かめられた。忘れかけていたことを思い出した。試合に出ていない人がグラウンド整備に行ったり、そんな時代もあった」 刺激されたハングリー精神をグラウンドで生かす。2023年ドラフトで独立Lから過去最多の23選手が指名されるなど注目度も上がっている。 「僕と(山本)祐大、ロッテの和田康士朗がいた時は独立リーグからそんなに(ドラフトに)かからない時代だった。支配下なんて全然だったので、6年たって結構変わった」 山本は3月に侍ジャパン入り。和田は21年に盗塁王にも輝いた。独立出身者の活躍には刺激を感じている。 「3人で切磋琢磨(せっさたくま)して独立でやっていた。(和田とは)連絡自体は少ないけど球場で会ったら話しますし、活躍は結構、気になる。2人が活躍すると俺もやってやるぞ!となるので良い関係だと思います」 6年目の25歳。チームで同学年の牧は主将に就任。山本も正捕手としての道を歩み始めるなど1軍の主力として活躍している。 「僕らも若い若いとやってきたけど、もうそこまで若くない。(世間的に見たら)若いけどチームをまとめたり後輩のお手本になったり、いろいろな立ち位置が変わってきたと思います」 キャンプ、リハビリ期間は若手選手に接する機会も多い。より自覚が芽生えてきた。 「もうファームの中では結構年上。1、2軍の差や、よく人を見るようになりました。簡単に言えばノック中にレギュラークラスはエラーをしないとか、全然違います。だから(エラーしたときは)逆に盛り上げるようにしてます。楽しくないと野球は面白くないと思うので、一緒に声を出してます」 知野自身も20歳と若くしてプロの世界に飛び込んだ。先輩に支えてもらっただけに、自身も還元していきながら成長していく。 「受け継いでいるって感じです。僕もプレーしやすくしてもらった。中川大志さん、石川雄洋さんたちには本当に良くしてもらいました。去年は(藤田)一也さん(現2軍育成野手コーチ)が良いお手本になってくれた。今度は僕がそれを見せてあげないといけない」 2軍では(27日時点で)24試合で打率2割3分4厘、8打点。積み上げた経験を糧に知野が1軍定着&独立の星を目指す。 ◆主な独立リーグ出身選手 ロッテ・角中勝也外野手(高知)、和田康士朗外野手(富山)、ソフトバンク・又吉克樹投手(香川)、藤井皓哉投手(高知)、阪神・湯浅京己投手(富山)、石井大智投手(高知)、巨人・増田大輝内野手(徳島)、西武・岸潤一郎外野手(徳島) ◆知野 直人(ちの・なおと)1999年2月16日、新潟県生まれ。25歳。聖光学院に進学も3年秋に中退し、第一学院(通信制)へ転校。卒業後は2017年にBC新潟の練習生として入団。同年に選手契約。18年ドラフト6位でDeNAに入団すると、21年に1軍初出場。22年には初の開幕スタメン。23年9月3日の巨人戦(横浜)では代打逆転満塁本塁打を放った。182センチ、85キロ。右投右打。年俸1100万円。
報知新聞社