大学の入試・広報担当者の本音座談会【中編】 総合型選抜、どうやったら受かるの…?
総合型選抜の入学者は、伸びる傾向
――自分のポテンシャルを生かせるところを探すのが、総合型選抜のもっとも大切な対策だということでしょうか。 B大学:そうです。余談ですが、少し前までは、総合型選抜で入学した学生は一般選抜で入った学生よりも成績が悪いという認識でした。でも、最近は逆です。入学直後の成績は一般選抜で入った学生のほうが高い傾向がありますが、3年生になる頃から総合型選抜組がグッと伸びていくんです。 C大学:まさにその通りです。総合型選抜をはじめ、年内入試で入学した学生は「この大学に入りたい」「こんな勉強をしたい」という目標があるので、入学後も一生懸命です。 A大学:学びたい気持ちが強いから、授業がより専門的になるほど面白くなるんでしょうね。総合型選抜はそういう人を求める選抜方式です。 B大学:だからこそ、総合型選抜を突破するには、出願前に学部・学科をきちんと研究するといいと思います。機械工学部を受けているのに、やりたいことはAIだったというようなことではミスマッチです。自分が本当にやりたいことができるかどうか、よく調べてみてほしいです。 C大学:うちの大学には、海外の協定大学で2年間学べる「ダブル・ディグリー・プログラム」や、実社会で役立つ課題解決型学修ができる「プロジェクト型学修」などがあって、そういう制度に魅力を感じて入ってきてくれた学生は、入学後も積極的にチャレンジします。何となく偏差値で選ぶのとは、わけが違うんです。だからこそ、入試でもそういった主体性のある受験生、リーダーシップのある受験生を評価しています。 ――総合型選抜を目指す受験生とその保護者にメッセージをお願いします。 A大学:総合型選抜は、多様な人材を受け入れるための制度です。高校での活動と大学での学びをつなげて、将来どうありたいかを語れる受験生に向いていると思います。よく「一般選抜の筆記試験では受からないけれど、総合型選抜なら受かるかもしれない」という方がいますが、そういう安易な考えは総合型選抜の趣旨に合いません。あくまでも高校で頑張ったことを生かして大学に入れる制度です。また、これは総合型選抜に限りませんが、大学は合格がゴールではありません。入学後の4年間で何を学び、どう成長していくか。18歳から22歳の頃は新たな知識の吸収も早く、一番成長できる時期だと思うので、自分が目指すものと合致する大学や学部を選んでほしいと思います。 B大学:一方で、17歳で将来やりたいことの方向性を決めろというのは難しいことです。だからこそ親御さんにお願いしたいのは、子どもとの対話です。特に総合型選抜は、親子のコミュニケーションが必要だと感じていますが、大学の学問分野は、親の時代とはかなり変わっていますから、親の価値観で決めつけるのはNGです。適度な距離感を持って、会話の中で子どものやりたいことをうまく引き出して、整理するサポートをしてあげてほしいと思います。 C大学:面接担当者もプロですから、実のないアピールは見抜きます。ただし、総合型選抜で力が及ばなかったとしても、無駄になるわけではありません。総合型選抜で不合格だった受験生が、そこで得た経験を糧に公募制推薦に挑戦し、合格するケースもあります。試験に慣れるということもあるでしょうが、複数回受けることで合格の可能性も高まります。各学部・学科で学ぶ内容や、特色のある教育プログラムまで詳しく調べて、ご自身に合った大学を見つけてほしいと思います。
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