大学の入試・広報担当者の本音座談会【中編】 総合型選抜、どうやったら受かるの…?
大学入試に関して、保護者から多く寄せられる質問の一つが、総合型選抜などの「年内入試」に関することです。総合型選抜は、志望理由書や調査書などの書類と、面接、小論文などによって選抜が行われる入試です。「学力一本勝負」の一般選抜とはまた違った難しさがありますが、大学はどのような学生を求めているのでしょうか。毎年多くの受験生や保護者と接している、大学の入試・広報担当者3人に話を聞きました。(写真=Getty Images) 【写真】続く不合格に「浪人する」 あきらめた息子を変えた母の行動
熱意やモチベーションが必要
――総合型選抜では自己アピールが重要です。ほかの人と違う経験を持っていることが、求められるのでしょうか。 A大学担当者(以下A大学):もちろん、志望動機の中にこれまでの経験を盛り込んでいくとよいのですが、「留学経験があります」「ボランティアをしました」だけではダメだということは強く言いたいですね。何かに参加したこと自体は、何のアピールにもなりません。例えば、留学なら行く動機があって、留学先で何を学び、それを自分が志望する学部でどう生かしたいのか。総合型選抜では、そういったストーリーを語れることが大事です。 C大学担当者(以下C大学):うわべだけのアピールをしても、面接担当者は必ず見抜きますね。受験生が用意してきた話はさらっと聞き流して、その後、本質を問うような質問をするようにしているはずです。つまり、自分の言葉で話さないと見透かされてしまうと思います。 A大学:最近は、総合型選抜が「プレ就活化」しているように思います。派手な経験を語ることは必ずしも必要なわけではなくて、部活動や委員会活動など、高校生活での等身大の経験から得たものを、自分の言葉で語れるほうがいいと思いますね。 C大学:うちの大学の総合型選抜では「主体性評価」に加点があります。資格検定で一定以上の級を持っていたり、クラブや委員会の部長をしていたりなどの経験に加点をしているのですが、「副部長じゃダメでしょうか」「役職についたことはないし、高校時代に何もやっていないんです」という質問も多く受けます。そんなときは、「〇〇をやってコミュニケーション力が高まった」とか、「入学後にこんなふうに生かして勉強したい」など、そこから得たことを書くようにお伝えしています。主体性評価の加点にはなりませんが、自分をアピールする材料にはなります。 B大学担当者(以下B大学):結局、総合型選抜で一番大切なのは、熱意やモチベーションです。「〇〇をしたいから、この大学に入りたい」という気持ちを評価する選抜なんですね。うちでは、総合型選抜を「とがった人を取るための入試」と位置づけています。そのため、例えばコンピューターに関する制作物を提出してもらっている学科もあります。高校の勉強はしていなかったけれど、パソコンのことなら自信があるという受験生がいたら、「自分のための入試だ」と思うでしょう。そういう特別なポテンシャルを生かしてほしいし、総合型選抜はそれが生かせる入試です。