「月給わずか13万円」NHK朝ドラ元ヒロイン44歳…きょうだいで1人だけ母の虐待受け最高7股の男性遍歴に至る道
■大嘘をついて、不倫相手と再々婚した母と絶縁 しかし、男性との七股交際などあまりにもぶっちゃけた発言で、所属していた大手老舗事務所とは折り合いが悪くなってしまう。そこを退社して小さい事務所に移籍した後は、思うぞんぶんバラエティで存在感を示すことができた。 その間、結婚と離婚を繰り返す。いずれも月単位のスピード離婚。そして実母、母がわりに世話をしたきょうだいたちとも絶縁した。 「母は私の父と離婚して、私の撮影現場のスタッフだった男性と再婚していました。それなのに、勤めていたスナックのマスターと不倫をしていたんです。しかも、なぜか虐待している私に『キスした』だの『ラブホテルに行った』だのと告白したり、不倫相手の局部の写真を見せて自慢したりするのです。正気の沙汰とは思えないですよね。挙句の果てに大嘘を吐いて、不倫相手を彼の奥さんから奪ってしまったんです」 その大嘘とは……不倫相手の子供を妊娠し、中絶した。「みどりという名前までつけていたのに、どうしてくれるのか」と相手の家族に詰め寄り、別れさせたのだ。 結果的に略奪婚をして、自分の願いを成就させた。 「しばらくして私にまたこっそり告白してきたのです。『妊娠や中絶は嘘よ』と笑いながら、です。恐ろしいけれど、狂気をはらんだ母は、私より女優に向いていると思ってしまいました」 母は不倫相手の籍に、遠野さんを除く下の子供たちを入れた。それがとても悔しかった遠野さんは、前述の通り、家族全員と縁を切った。 「あれだけ愛を注いだのに、きょうだいは母を選んだのが許せませんでした。考えたら、彼らは育児放棄されていても虐待は受けていなかったし、再婚相手はお金持ちだったので母を選んだのかもしれません」 ■母と同じことは絶対しない、母は自分の反面教師 財産は一銭たりともわたさない、と母は言った。遠野さんにとっては、金などもうどうでもいいこと。数々の男性に依存したかもしれないが、不倫は絶対悪だと思っているし、経済的には誰にも頼っていない。そこが母とは違う。 摂食障害で食べられない時期があっても美味しい料理を作ったり、家をきれいに整頓したり、子供や動物に愛情を注ぐのも、すべて母を反面教師としていたから。いや、すべて本当は母にしてほしいことだった。 美しく整えた家で食事を用意し、愛情たっぷりに育ててほしかった。自分を醜いなどと蔑まず「可愛い、可愛い」と慈しんでほしかった。 なのに、母は難病を押し付けたまま、遠野さんの前から姿を消してしまったのだ。(以下、後編へ続く) ---------- 東野 りか フリーランスライター・エディター ファッション系出版社、教育系出版事業会社の編集者を経て、フリーに。以降、国内外の旅、地方活性と起業などを中心に雑誌やウェブで執筆。生涯をかけて追いたいテーマは「あらゆる宗教の建築物」「エリザベス女王」。編集・ライターの傍ら、気まぐれ営業のスナックも開催し、人々の声に耳を傾けている。 ----------
フリーランスライター・エディター 東野 りか