一時「1ドル=141円台」まで円高進行も、内田副総裁「不安定な状況で利上げはない」⇒株高&円安へ…市場を動かす《次の焦点》は?【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)が解説します。
● 日銀追加利上げとFRBの9月利下げ示唆後、米景気先行き不安が浮上しドル円は141円台へ。 ● 年初からのドル高・円安と7月に入ってからのドル安・円高は、ともに投機筋が強く関与した可能性。 ● 日銀内田副総裁は本日、早々に市場の追加利上げ観測をけん制、目先ドル安・円高は一服か。
日銀追加利上げとFRBの9月利下げ示唆後、米景気先行き不安が浮上しドル円は141円台へ
ドル円は7月3日に1ドル=161円95銭水準をつけた後、7月11日発表の6月米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回ったことをきっかけに、ドル安・円高方向へ急速に反転しました。その後、7月31日の日銀金融政策決定会合で追加利上げが決定され、米連邦公開市場委員会(FOMC)で9月に利下げ検討の可能性が示唆されると、ドル安・円高の動きが加速し、8月5日には141円70銭水準に達しました。 もともとドル円が161円台まで進んだ背景には、日銀と米連邦準備制度理事会(FRB)の慎重な政策運営の姿勢に、日米金利差はしばらく縮小しないであろうとの市場の見方があったと推測されます。こうしたなか、先月の日銀追加利上げとFRBの9月利下げ示唆に加え、足元では米経済指標の下振れで景気先行き不安が急浮上し、日米金利差縮小の観測が強まったことで、一気にドル安・円高が進んだと考えられます。
年初からのドル高・円安と7月に入ってからのドル安・円高は、ともに投機筋が強く関与した可能性
年初からほぼ一本調子で進んだドル高・円安と、7月に入ってからの急速なドル安・円高については、投機的な動きが強く関与している可能性が高いと思われます。そこで、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の1部門である、インターナショナル・マネー・マーケット(IMM)に上場されている通貨先物について、投機筋による円の売買動向を確認してみます(図表1)。 図表1をみると、投機筋は年初から円を売り越し、7月2日時点の円売りポジションは184,223枚と、かなり高水準に積み上がり、ドル円はおおむねこれに連動する形で、円安が進んだ様子がうかがえます。その後、投機筋が一気に円売りポジションを解消する(円を買い戻す)と、ドル円も急速にドル安・円高に振れており、投機的な取引がドル円相場の方向性に大きく影響したと推測されます。
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