災害時のために「自宅に現金」は必要? 念のため現金で「10万円」を置いていますが、災害時にはやはり電子マネーより現金でしょうか?
大地震などの災害に備え、非常用の「現金」は準備しているでしょうか? 普段はPayPayやSuicaなどを使いキャッシュレスで暮らしていても、災害避難時には「やはり現金」という意見は根強いようです。 本記事では、災害時に持ち出す「現金」について、必要な額や内訳などを紹介します。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
避難時に「電子マネーだけ」はNG?
「電子マネーは災害に弱い」と言われることがあります。それはなぜでしょう。 ■停電やネット回線の不通 大地震などの直後は、停電やインターネット回線の不通により、電子マネーが使えなくなることがあります。店舗によっては自家発電装置などを使い、早期に電源が復旧することもあるようですが、全ての店舗がそうとは限りません。 そのため、災害直後の混乱が収まるまでは、ある程度の現金を持っていたほうがよいと言われます。消防庁のサイトでも「最低これだけは必要なもの」として、懐中電灯や通帳と並び「現金」がラインアップされています。 ■スマホのバッテリーを温存 電子マネーの種類によっては、スマホ端末が必要なことがあります。 しかし、災害時のスマホには「緊急連絡」や「情報収集」といった極めて重要な役割がありますから、限りあるバッテリーはそうしたことに使いたいものです。災害時の貴重な電源を温存するためにも、いくらかの現金を用意しておきたいものです。
避難に必要な「現金」
それでは災害時のために、どのくらいの現金を準備すればよいのでしょうか? ■必要な現金の額は 避難時の必要額については諸説あり、「2万円程度」とも「1週間分の生活費」とも言われています。自宅や避難所にたどり着くまでの交通費、周囲が落ち着くまでの水・食料品代などを考えると、単身者でも2~3万円は準備したほうがよいかもしれません。家族の人数や構成によっては、より多くの現金が必要と考えられます。 ■小銭が必要 そして、現金は紙幣だけではなく、100円玉や10円玉などの硬貨も取り交ぜて準備しましょう。災害直後は、店舗におつりが足りていないこともあるからです。 海上自衛隊のサイトでは「準備しておいた方がよいもの」の1つに「小銭」が挙げられています。現金と表記せず「小銭」と書かれているところに、危機管理にたけた防衛省のこだわりが感じられますね。 ■重量も考える 「では小銭だけで2万円準備しよう」と思う人もいるかもしれませんが、小銭は意外に重いため、避難時には負担になることもあります。ちなみに100円玉は1個4.8グラム、10円玉は1個4.5グラムですから、1万8000円分を100円玉で、2000円分を10円玉で準備すると、総重量は1.76キログラムにもなり、疲労している時に持ち歩くのはつらいかもしれません。 避難時に小銭が便利なことは事実ですが、自分の体力と相談し、紙幣と硬貨の割合を調節しましょう。 ■非常用に別にしておく また、避難用の現金は普段の財布とは別に準備します。避難時はパニックになりやすいため、できれば非常持ち出し袋の中に「現金」を入れておきたいものです。 ■現金と電子マネーを使い分ける 避難時には重要な現金ですが、盗難や滅失に弱いというデメリットがあります。火災で燃えたり、避難時に落としたり、避難所で盗まれたりする危険もあるのです。その点は、電子マネーのほうが安心です。災害直後の停電などが収まるまでは現金、その後は電子マネーというように、使い分けることも大切です。 なお、電子マネーのうちでも、バーコードや二次元コードの「コード決済」はインターネット回線が必要ですが、Suicaや楽天Edyなどの「タッチ決済」は電源だけでも利用できます。そうした特徴を踏まえ、複数種類の電子マネーを持っておくこともリスク管理になるでしょう。
まとめ
電子マネーが主流になりつつある現在ですが、大地震などの避難時には現金を所持していたほうが安心です。現金は停電やネット回線の不通に強く、すぐモノに換えることができるからです。災害時のための現金は、いつもの財布とは別に常備し、すぐに持ち出せるようにしておきましょう。 出典 総務省消防庁 地震などの災害に備えて 海上自衛隊 生活(防災)に関する情報 執筆者:橋本典子 特定社会保険労務士・FP1級技能士
ファイナンシャルフィールド編集部