最新ハイエンドスマホに搭載されているCPUは、数年前のPC向けAPUより高性能?
ハイエンドスマホのCPUは「数年前のパソコン向けAPU」に肉薄しつつある
先にご紹介した、Ryzen 5 5600Gは「エントリークラス向け」とは言え、2021年頃には「最もコスパの良いAPU」であり「そこそこの解像度で十分であれば、内蔵GPUで十分にゲームができるチップ」でした。 そして「2021年頃に売れていた、デスクトップ向けAPU」に、ハイエンドスマホのモバイル向けチップが肉薄しつつあるのが現状と言えるのではないでしょうか。 たとえばRyzen 5 5600GおよびRyzen 7 5700Gと、Apple A18 Proのベンチマーク数値を比較すると以下の通りです。
・Ryzen 5 5600G:19878 ・Ryzen 7 5700G:24555 ・Apple A18 Pro:12896 なおRyzen 5 5600Gの上位モデルにあたるのが「Ryzen 7 5700G」です。8コア16スレッドCPUを備えています。 下位モデルであるRyzen 5 5600Gは、6コア12スレッドCPUです。 そのためRyzen 5 5600GとRyzen 7 5700Gのスコアの差は大きく、Apple A18 Pro(※6コア)もRyzen 7 5700Gには及びません。一方でコア数が同じRyzen 5 5600Gに対しては、モバイル向けチップでありながら「Apple A18 Pro」はかなり健闘していると言えるでしょう。 ちなみに、Ryzen 5 5600Gは6コア12スレッドCPU。Apple A18 Proは6コア6スレッドと言われています。 スレッドに開きがあることが、Ryzen 5600GとApple A18 Proを比較した際にマルチスレッド性能の面で差として表れていると言えるでしょう。しかしApple A18 Proはシングルスレッド性能では、数年前のAPUである「Ryzen 5 5600G」をすでに上回っています。シングルスレッド性能、マルチスレッド性能のさらなる向上も近年のモバイル向けチップの急激な性能向上を踏まえると十分期待されるでしょう。 ■スマホが「ミニPC」の役割を果たす未来が近い? スマホはもはやモバイル端末にとどまらず、チップ単体の性能でみれば「ミニPC」としても使えるレベルに達していると言えるのではないでしょうか。ハイエンドスマホであれば、モニターやキーボードさえ繋げれば、PC向けソフトウェアが十分快適に動作する可能性が高いです。 こうしたチップ性能の向上は、中期的な視点でみると「スマホのミニPC化」を前提としたOS開発やアプリ開発に繋がりえる可能性もあります。たとえば2011年に開始された「Ubuntu Touch」は、スマホのミニPC化を目指したLinuxベースのOS開発プロジェクトであると言えます。