【水俣病、再懇談へ】1回では終わらない、信頼関係修復には時間 水俣病被害者の会・中山裕二事務局長(70)
5月1日の水俣病犠牲者慰霊式後の懇談で環境省職員が患者団体側の発言を遮ってマイクを切った問題を受け、伊藤信太郎環境相との再懇談が7月中にも開かれる。各団体に国への訴えや考え方を聞き、公式確認から68年が過ぎても全面解決には程遠い水俣病を取り巻く課題を洗い出す。初回は水俣病被害者の会事務局長の中山裕二さん(70)。(鎌倉尊信) -5日の「全国公害被害者総行動デー」の交渉で、伊藤信太郎環境相に懇談の継続を求めました。 「(患者団体の発言を打ち切った)5月1日以降、水俣病問題をどうやって解決していくかを考えると、再懇談やタスクフォース(環境省の省内横断組織)の役割は大きい。大臣に確認しようと思い、『再懇談は1回で終わるとは思っていないでしょうね』と聞いた。政務三役に加え、事務方も含めて継続的に協議する約束を取り付けた。『少しでも前進させたい』『新しい解決方法を見つけていく場』との言質も取った」
-ただ、伊藤氏の発言は徐々に後退しています。 「発言のぶれは大臣の資質や理解の不十分さもあると思うが、省内のいろんな意見が反映されていると思う。タスクフォースができるまで、大臣は自分の思いを言っており、官僚のグリップがほとんど利いていない印象だった。タスクフォースができて以降、発言が後退し始めた。懇談の中で協議していく」 -再懇談での訴えは。 「5月1日に水俣病被害者・支援者連絡会として各団体連名で渡した共同要求書がベースになる。2016年の公式確認60年の時にまとめ、各団体の要求の最大公約数を盛り込んだ。これまで無視し続けてきた環境省がどう答えるかが、今後の議論の中心となる」 「再懇談で全て回答があるかは分からないが、少なくとも環境省が所管する被害者救済については議論できるだろう。その中で、1977年の判断条件(認定基準)や過去の最高裁判決にも触れることになる。総論から各論の議論になっていくだろうから、各論を議論する実務協議の場が必要と考えている。政務三役にも入ってもらいたい。大臣や事務方が代わっても協議を継続するとの確認を取ることも重要だ」