香水の老香水の老舗メーカー3代目による「ラブソルー」 部屋ごとに香りが異なるパルファムホテルも運営
WWD:どのように、各部屋の香りをデザインしたか?香リには、個人の好き嫌いがあると思うが?
マートン:「ラブソルー」が大切にしている哲学は、“エレガンス”。香水が、着ける人以上に存在感があってはだめ。着ける人と共に息をするような存在であるべき。どの香りも、これは、バニラ、ローズとすぐわかるような圧倒されるような強さがなく、ごく自然でさりげない。だから、あらゆる人に受け入れられる。部屋に入って、気持ちよく特別に感じる香りばかりだ。香水嫌いの某著名フォトグラファーが宿泊した際も、問題なかったし香り付きのアメニティーも使用してくれた。
調香師と共に引き出す香りの“感情”や“質感”
WWD:調香師はどのように選ぶか?
マートン:調香師はアーティストと同じ。絵画に例えると、フィンセント・ヴァン・ゴッホ(Vincent Van Gogh)やパブロ・ピカソ(Pablo Picasso)、アンリ・マティス(Henri Matisse)らの絵画はスタイルは違えども、それぞれに巨匠と呼ばれる特徴がある。調香師も同じで、この香りであれば、この調香師に頼むべきと直感的に分かる。調香師と働く時に一番大切なのは、彼らをインスパイアすること。香水作りには、技術的な情報やマーケティングを必要とする一方で、感情や質感といったものを感じ取ってもらうよう誘う必要がある。ランチを一緒にしたり、語り合ったり、とてもシンプルなこと。だが、一つの香りの調香に、何カ月も何年もかかることもある。
WWD:ベストセラーとその理由は?
マートン:”19 レーニョ・ディ・グアイアコ”。ガイアックウッドとても洗練されているけどシンプルな香り。ジャック・キャヴァリエ(Jacques Cavallier)が聴講した“24 ザガラ”はシチリア特有のレモンの花の香りで、さんさんと降り注ぐ太陽をボトルに閉じ込めたようなフレグランス。カラブリアの海岸に育つベルガモットを使用した“101ベルガモット”やビターオレンジの木や花など異なるパーツから抽出した“23 ネロリ”、地中海には欠かせない植物である“202 フィグ”など定番的な香りも人気だ。