香水の老香水の老舗メーカー3代目による「ラブソルー」 部屋ごとに香りが異なるパルファムホテルも運営
WWD:他のフレグランスブランドと大きく違う点は?
マートン:既にブランドはたくさんあるので、同じようなブランドは必要ないと思った。「ラブソルー」はライフスタイルを軸にしたブランドとして、香水やホームフレグランスを提供している。また、3代に渡り、イタリア国内の自社工場で香水を製造してきた。だから、最高の調香師たちとはビジネスだけでなく、家族的な付き合いがあり、深いつながりがある。だから、彼らと一緒に作る香水は、われわれ家族のストーリーの一部であり、通常のブランドのものとは異なる職人的なパーソナルタッチがある。
家族の歴史が刻まれた工場をホテルとラボに
WWD:ラボラトリー併設のホテルをスタートした経緯は?
マートン:香水ビジネスの拡大に伴いミラノ市内にあった香水工場を郊外へ移設した。香水工場はわれわれ一族の伝統が反映された大切な場所。ナビリオ運河近くで、昔は工業地区だったが今はデザイン地区として賑わっている。家族で話し合って工場をラボラトリーとして残そうということになった。そこで、香水とホスピタリティーをコンセプトに、世界で初めて、そして唯一のパルファム・ホテルにした。
WWD:ホテルの部屋ごとに異なる香りをプロデュースしたようだが?
マートン:最初は29部屋だったので、29種類の香水を作った。香水の名前は、シンプルにルームナンバーにした。今では、68部屋になり、その分香りの種類も増えた。好きな香りを選んで部屋に空きがあれば、チェックインできるようにしている。また、ホテルでは、嗅覚に関する体験を提供している。香水から着想を得たアペリティフや料理を提供している。例えば、ローズマリーやベルガモットといった原料から、燻した香りなど、香水作りにまつわるさまざまな要素をシェフやミクソロジストのアイデアでメニューにしている。また、スパでは、アロマテラピーのサービスもある。また、ラボラトリーでは、香りの文化に関するワークショップを行なっている。調香師やリサーチャーによるレクチャーや、日本の香道のセレモニーなど、嗅覚に関する異なるトピックスを選んで無料で開催している。